【基本】振幅と強度の反射率と透過率

こちらでは、反射と屈折の原理をマクスウェル方程式により求めましたが、ここでは、反射と透過の振幅と強度を見てみます。

こちらの図より、入射光の電界ベクトルは次のように表されます。

\begin{gather}
E_{ax} = A_p \cos{\phi_1} \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{ay} = A_s \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ] \end{gather}
\begin{gather}
E_{az} = -A_p \sin \phi_1 \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ]
\end{gather}

反射光は、次の通りです。

\begin{gather}
E_{rx} = R_p \cos{\phi^{‘}_1} \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{ry} = R_s \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ] \end{gather}
\begin{gather}
E_{rz} = -R_p \sin \phi^{‘}_1 \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ]
\end{gather}

そして、透過光は以下の通りとなります。

\begin{gather}
E_{tx} = T_p \cos{\phi_2} \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{ty} = T_s \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{tz} = -T_p \sin \phi_2 \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}

磁界ベクトルの各成分はマクスウェル方程式より同様に求められます。

電磁波は連続的に進むので、媒質1側にある入射光と反射光の振幅の和は媒質2にある透過光の振幅と同じである必要があります。このことから、
$$ E_{aj} + E_{rj} = E_{tj} $$
$$ H_{aj} + H_{rj} = H_{tj} $$
$$ (j = x, y) $$
が成り立つはずです。これに、各電磁波成分と\(\phi_1 = \pi – \phi^{‘}_1\)を考慮すると、次の式が導出されます。

\begin{gather}
(A_p – R_p) \cos \phi_1 = T_p \cos \phi_2
\end{gather}
\begin{gather}
A_s + R_s = T_s
\end{gather}
\begin{gather}
\sqrt{ \xi_1} (A_s – R_s ) \cos \phi_1 = \sqrt{ \xi_2 } T_s \cos \xi_2
\end{gather}
\begin{gather}
\sqrt{ \xi_1} (A_p + R_p ) = \sqrt{ \xi_2 } T_p
\end{gather}

ここで、スネルの法則
$$ \frac{ \phi_1 }{ \phi_2 } = \frac{n_1}{n_2} = \sqrt{ \frac{ \xi_2 }{ \xi_1 } } $$
を用いて、p成分とs成分の振幅反射率rp, rs と振幅透過率tp, tsを求めると、
$$ r_p \equiv R_p / A_p = \tan( \phi_1 – \phi_2 ) / \tan( \phi_1 + \phi_2) $$
$$ r_s \equiv R_s / A_s = – \sin( \phi_1 – \phi_2 ) / \sin( \phi_1 + \phi_2) $$
$$ t_p \equiv T_p / A_p =  2 \cos \phi_1 \sin \phi_2 / \sin ( \phi_1 + \phi_2 ) \cos ( \phi_1 – \phi_2) $$
$$ t_s \equiv T_s / A_s = 2 \cos \phi_1 \sin \phi_2 / \sin ( \phi_1 + \phi_2 ) $$
となり、フレネルの公式と呼ばれる関係が得られます。

光が垂直に入射する場合を考えると、入射角が小さいので
$$ \sin \phi_1 \simeq \phi_1, \cos \phi_1 \simeq 1 $$
と近似でき、スネルの法則も
$$ n_1 \phi_1 = n_2 \phi_2 $$
となり、\(\phi_1 \rightarrow 0\)の極限をとると
$$ r_p = (-n_1 + n_2) / (n_1 + n_2) $$
$$ r_s = (n_1 – n_2) / (n_1 + n_2) $$
$$ t_p = 2 n_1 / (n_1 + n_2) $$
$$ t_s = 2 n_2 / (n_1 + n_2) $$
となります。したがって、透過率は常に正となります。\(n_2 > n_1 \)の時、反射率rsは負となり位相が反転することになります。また、\(n_2 / n_1 \rightarrow \infty \)の時、反射率は-1で、透過率は0となり、完全に反射されることが分かります。

【基本】装置の性能維持

1. 装置の性能維持のために

長期にわたり安定した加工を行うためには、装置の性能維持が不可欠です。性能を確認する方法や基準は様々あると思います。弊社が得意としているのは、レーザー微細加工ですので、加工結果を評価して装置が正常に稼働しているか評価することは理にかなっていると思います。

加工結果から装置の性能維持を確認する方法としては、例えば、ある時期に加工した結果を記録しておき、その後、修理やメンテナンス後に同じ条件で加工して同じ結果が得られるかを確認する方法があります。

では、得られたデータから装置の性能が維持されているかどうかをどのように評価すれば良いでしょうか?

一つの方法は、統計的に評価する方法です。検定することにより確認する方法を以下に記します。統計的な計算にはR言語を使用します。

2. 評価

2.1 データ

ある時点で、ステンレス板へ直径φ100μmの貫通穴を40穴加工したとします。その加工穴の直径を全て測定すると、以下のdat0というデータが得られたとします。

> dat0
 [1]  99.29  94.97 100.78 101.17 101.78  91.89 101.10 101.55  92.89 104.78 103.92 111.50 100.78 100.23 100.48 100.35
[17]  90.76  91.64  99.61  97.09 100.27  89.44  92.51  94.49 104.93  94.51  96.00 100.40  98.39 100.73 111.53  94.38
[33]  98.47  97.42 107.56  96.15  99.59 103.94  94.71 108.28

その後、装置をメンテンナンスしました。従来と全く同じ条件で同じようにステンレス板へ直径Φ100μmの穴加工を40回行いました。その測定結果が、dat1として得られました。

> dat1
 [1] 107.55  97.05 106.23 102.22 105.38 102.96 109.92  95.39 100.36 102.00  97.53  97.26 103.39 102.71  88.20 109.74
[17] 105.00 118.00 107.61 100.82 120.28 120.49  96.19 106.31 102.23 104.62 104.87  95.93 105.21 114.00 102.52 102.52
[33] 111.89 108.89  93.61 104.87 113.42 111.99 106.02 107.83

結果をヒストグラムで確認してみます。

library(tidyverse)
library(ggplot2)
library(reshape2)
dat <- data.frame(dat0, dat1)
dat %>% melt() %>% 
  ggplot() + 
  geom_histogram(aes(x=value, fill=variable))  

性能が維持できているかどうかは、加工穴の平均直径が2回の加工結果でほぼ同じであると言えればよさそうです。ヒストグラムから、何となく2つの結果が似ているように見えます。性能は維持できていそうです。

より正確に評価するために、この2つのデータdat0, dat1から、メンテナンス後の装置が従来と同じ性能を維持しているか見てみます。

2.2 正規性の確認

検定を行うためには、データが正規分布しているかどうかが重要です。これにより検定方法が変わってきます。正規性の確認は、シャピロ・ウィルク検定で行います。

> shapiro.test(dat0)

	Shapiro-Wilk normality test

data:  dat0
W = 0.9765, p-value = 0.5618

> shapiro.test(dat1)

	Shapiro-Wilk normality test

data:  dat1
W = 0.97739, p-value = 0.5935

p値(p-value)を見ますと、0.05以上ですので、帰無仮説(H0:正規分布している)が棄却されなかったことになります。つまり、dat0, dat1とも正規分布しているとしてよさそうです。

2.3 等分散の確認

2つのデータは同じ分散であるか調べます。等分散の検定はF検定です。

> var.test(dat0, dat1)

	F test to compare two variances

data:  dat0 and dat1
F = 0.57319, num df = 39, denom df = 39, p-value = 0.0862
alternative hypothesis: true ratio of variances is not equal to 1
95 percent confidence interval:
 0.3031598 1.0837410
sample estimates:
ratio of variances 
         0.5731899 

p値が0.05以上ですので、帰無仮説(H0:等分散である)は棄却されませんので、2つのデータは同じ分散であると言えます。

2.4 t検定

前節で等分散であることが分かりましたので、t検定(スチューデントのt検定)を行います。等分散でない場合にはWelchの検定を行うことになります。

> t.test(dat0, dat1, var.equal = TRUE)

	Two Sample t-test

data:  dat0 and dat1
t = -4.0146, df = 78, p-value = 0.0001359
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
 -8.330322 -2.807178
sample estimates:
mean of x mean of y 
  99.2565  104.8252 

p値が0.05以下ですので、この結果、帰無仮説(H0:2つの平均値データに差がある)が棄却され2つのデータに差がない、つまり同じ加工条件で加工した場合、装置は同じ加工結果を得られたことになります。よって、装置の性能は維持できていると言えそうです。

3. まとめ

検定という統計手法を用いることで、装置の性能維持ができていることを確かめる方法を見てきました。評価方法は様々ありますが、加工機ですから加工結果で性能を評価することが最も重要ではないでしょうか。

【基本】反射防止コーティング

光がレンズに境界面へ入射するときに、反射が起こります。一般に反射率は数%と言われ、光そのものを利用するアプリケーションでは損失となります。レーザー加工機のような複数のレンズ等の光学部品を使用する場合、各境界面でこの損失がおこり合計すると大きな損失となります。また、光が逆方向など予期せぬ方向に進んだり、ゴーストを発生させるという問題もあります。

この反射を防ぐために反射防止(AR)コーティングを施したレンズを使用します。この反射防止の性能は、使用する光の波長や入射角によって異なります。レーザーの場合、単一波長ですので、その波長での特性を考慮すれば良いですが、複数の波長の光を使用する場合には特に注意が必要です。

コーティング材料は、さまざまありますが、最もシンプルで広く使われているのは、フッ化マグネシウム(MgF2)の単層膜で、中心波長550nmで比較的広帯域での利用が可能です。

【基本】ガラスの種類

1.光学ガラスの概要

レーザー加工機では、レーザー光源から加工点まで様々な光学部品を用いてレーザーを導きます。その多くはガラスが用いられています。このような光学ガラスは様々なメーカーで製造され販売されていますが、大きく分けてクラウンガラスとフリントガラスの2種類に分けられます。ガラスの主成分は二酸化ケイ素ですが、これに加える材料により種類が分かれます。

クラウンガラスは、二酸化ケイ素に酸化ナトリウムや酸化カルシウムを混ぜたもので、波長分散が小さく(アッベ数50~55以上)、屈折率の小さいガラスです。アッベダイアグラムの左半分に示され、KないしCの記号で書かれます。代表的なガラスとしてはBK7があります。

一方、二酸化ケイ素に酸化鉛を混ぜたものが、フリントガラスで、波長分散が大きく(アッベ数50以下)、屈折率の大きいガラスです。アッベダイアグラムの右半分を占め、記号Fで記されます。最近は環境問題から鉛を含まないフリントガラスも開発されています。

ガラスの性質を示す屈折率は、真空中の光速に対するガラス媒質中の光の速度の比で定義され、媒質中でどれだけ光が遅く進むかを表しています。この屈折率の評価には、ヘリウムのd線での波長 (587.6nm)が使わています。

機械的な特長としては、クラウンガラスは硬く重量が軽いのですが、フリントガラスは比較的柔らかく重いという特徴があります。

クラウンガラス、フリントガラスとも、それぞれさらに細かく分類されて販売されています。

2.色収差

通常のガラスレンズには、波長によって焦点位置が異なる色収差の問題があります。その補正のために、クラウンガラスとフリントガラスを組み合わせたアクロマチックレンズが使われます。クラウンガラスの両凸レンズとフリントガラスの平凹レンズの組み合わせで、赤と青の色収差をなくし焦点を一致させることができます。

この技術は、比較的安価なコンパクトデジカメでも使われています。例えば、CANON IXY210は、「7群9枚(両面非球面レンズ1枚)」のレンズ構成です。つまり、ダブレットand/orトリプレットのレンズが使われているということです。

【基本】高調波化

レーザーは、その基本波をそのまま加工に用いることもありますが、集光性や材料吸収性の観点から、波長変換をして高調波を用いることもあります。例えば、Nd:YAG, Nd3+:YVO4のからの基本波1064nmを変換素子を用いて波長変換し、2倍、3倍の振動数のレーザー光を作り出すことができます。周波数\(\omega(= 1 / \lambda)\)を2倍にした第2高調波(SHG:Second Harmonic Generation, 532nm)や3倍にした第3高調波(THG:Third Harmonic Generation, 355nm)が実際に加工では用いられています。さらに、あまり見かけませんが、第4高調波(FHG, 266nm)もあるようです。

この高調波を生み出す原理は、非線形結晶を透過させることで実現しています。

SHGの場合、\(\omega_2 = \omega_1 + \omega_1\)ですから、$$ 9398cm^{-1} + 9398 cm^{-1} = 18796 cm^{-1} \simeq 532 nm $$

THGの場合、\(\omega_3 = \omega_1 + \omega_2\)ですから、$$ 9398cm^{-1} + 18796 cm^{-1} = 28194 cm^{-1} \simeq 355 nm $$

FHGの場合、\(\omega_4 = \omega_2 + \omega_2\)ですから、$$ 18796cm^{-1} + 18796 cm^{-1} = 37592 cm^{-1} \simeq 266 nm $$

となります。しかし、変換効率は100%ではありませんので、変換するごとに出力は低下します。この変換効率の向上と高出力化が課題となっています。しかしながら、特に微細加工においては、紫外領域のレーザーが有利である場合が多いため非常に注目されています。

SHG, THGを発生させる光学素子としては、LBO結晶があります。また、FHGを発生させるには、KTP結晶とCLBO結晶が使われます。

多くのレーザーメーカーから高調波を発生させるレーザー光源が販売されています。波長変換部をモジュール化して光源と一体化したレーザーが多く見られます。

【基本】反射と屈折

光が異なる2つの媒質の境界に入射するときには、反射と屈折が発生します。この現象を下図を使ってみていきます。

光がxy平面にある媒質1(屈折率\(n_1\))から媒質2(屈折率\(n_2\))の境界に入社する場合を考えます。境界面で光の一部は反射し、一部は透過します。入射光、反射光、透過光の電界ベクトルをそれぞれ\(E_a, E_r, E_t\)とします。このベクトルのxz平面に平行な振動成分と、垂直な振動成分をそれぞれp,sで表します。

電界ベクトルのp成分は、次のように表されます。

\begin{gather}
E_{ap} = A_p \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{rp} = R_p \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{tp} = T_p \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}

ここで、\( \phi_1 , \phi^{‘}_1 , \phi_2 \)は、入射、反射、透過光の境界への角度、\(A_p , R_p , T_p\)はそれぞれ入射、反射、透過光の振幅、\( \omega \)は角振動数、\(k_1, k_2\)は媒質1,2での波数です。

境界線z=0において時刻tによらず位相が同じである必要がありますから、$$ k_1 \sin \phi_1 = k_1 \sin \phi^{‘}_1 = k_2 \sin \phi_2 $$ である必要があります。

この式の左辺と中辺より、$$ \phi_1 = \pi – \phi^{‘}_1 $$ が成り立ち、入射光と反射光の角度は、z軸に対して対称であることがわかります。

また、左辺と右辺より$$ k \equiv 2 \pi / \lambda $$ の定義を用いて、$$ \frac{\sin \phi_1}{\lambda_1} = \frac{\sin \phi_2}{\lambda_2} $$となります。

さらに、$$ \omega \equiv 2 \pi \nu , n \equiv c / v , v = \lambda \nu $$の関係を使うと、$$ n_1 \sin \phi_1 = n_2 \sin \phi_2 $$となります。この関係から、$$ \phi_1 \neq \phi_2 $$であることが分かります。つまり、境界面で透過した光はその進む方向が屈折します。これは、スネルの法則と呼ばれています。

【基本】偏光の記述

1.ジョーンズベクトル

光を波としてみたときに、その振動方向は偏っています。その記述方法について記します。

z軸方向へ進む電磁波を考えたとき、ある時刻のx,y方向成分の振幅は、xy平面にて以下のように表されるとします。

\begin{gather}
E_x = E_{0 x} e^{i \phi_x} \label{eq:1} \end{gather}
\begin{gather}
E_y = E_{0 y} e^{i \phi_y} \label{eq:2} \end{gather}

これを、ベクトルを使い、次のように表したものをジョーンズベクトルと呼ばれています。

\begin{gather}
\mathbf{J} \equiv \left[
\begin{array}{c}
E_x\\
E_y
\end{array}
\right]
\end{gather}


ここで、\(E_x = E_{x0} / \sqrt{E_{x0}^2 + E_{y0}^2 }, E_y = E_{y0} \cdot e^{i \phi} / \sqrt{E_{x0}^2 + E_{y0}^2}\)です。

例を下図に示します。

2.ジョーンズ行列

ジョーンズベクトルを使えば、光が光学素子を通っていく過程でどのような変更状態になっているかを表現できます。下図のように光学素子に光が入射する場合を考えます。

光は線形結合が成り立つので、入射光の振幅\(E_{1x}, E_{1y}\)と出射光\(E_{2x}, E_{2y}\)の間を次の関係で表すことができます。

\begin{gather}
E_{2x} = T_{11} E_{1x} + T_{12} E_{1y} \end{gather}
\begin{gather}
E_{2y} = T_{21} E_{1x} + T_{22} E_{1y} \end{gather}

Tは光学素子の特性を表す定数となります。上式をまとめて、次のように書きます。

\begin{gather}
\mathbf{J_{2}}= \mathbf{T} \mathbf{J_{1}} \end{gather}
\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
T_{11} && T_{12} \\
T_{21} && T_{22}
\end{array}
\right]
\end{gather}

このTはジョーンズ行列と呼ばれています。光が次々と光学素子を通過しているときには、次のように行列の積で表していくことができます。

\begin{gather}
\mathbf{J_{2}}=\mathbf{T_{N}} \cdot \cdot \cdot \mathbf{T_{3}}\mathbf{T_{2}}\mathbf{T_{1}} \mathbf{J_{1}} \end{gather}

次にいくつかの例をあげます。

(1)直線偏光子(linear polarizer)

\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
1 && 0 \\
0 && 0
\end{array}
\right]
\end{gather}

(2)遅相子(wave retarder)

\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
1 && 0 \\
0 && e^{-i \phi}
\end{array}
\right]
\end{gather}

①4分の1波長遅相子:\(\phi = \pi / 2\)の時。4分の1波長板。
②2分の1波長遅相子:\(\phi = \pi \)の時。2分の1波長板。

(3)偏光回転子(polarization rotator)

\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
cos{\theta} && -sin{\theta} \\
sin{\theta} && cos{\theta}
\end{array}
\right]
\end{gather}

光学活性媒質、ファラデー回転子などです。

【基本】偏光

電磁波である光は、進行方向と垂直に振動する横波で、その振動方向が空間的、時間的に変化(偏る)偏光という現象があります。これを見ていきます。

光がz方向へ伝搬していくとした場合、電界ベクトル\(E=(E_x, E_y, 0)\)を次のように表すものとします。

\begin{gather}
\mathbf{E} = \mathbf{E_0} e^{i (\omega t – k z)} \label{eq:1} \end{gather}

ここで、xy面内で振動する振幅は\(E_0 = (E_{0 x}, E_{0 y}, 0)\)とします。ある任意の時間のxyの成分は次のように表されます。

\begin{gather}
E_x = E_{0 x} e^{i (k z + \phi_x)} \label{eq:2} \end{gather}
\begin{gather}
E_y = E_{0 y} e^{i (k z + \phi_y)} \label{eq:3} \end{gather}

両者の初期位相差は、次のように表されます。

\begin{gather}
\phi \equiv \phi_x – \phi_y \label{eq:4} \end{gather}

この\( \phi \)の値によって、偏光状態が変わります。

(1)直線偏光

直線偏光を見ていきます。

\(\phi = 2m\pi\)(m:整数)の時、\(E_y = \frac{E_{y0}}{E_{x0}} E_x\)
\(\phi = (2m+1) \pi\)(m:整数)の時、\(E_y = – \frac{E_{y0}}{E_{x0}} E_x\)

このことから、xy平面で電界ベクトルの写像を考えますと、それぞれ傾き\(\frac{E_{y0}}{E_{x0}}\)、\(– \frac{E_{y0}}{E_{x0}}\)を持って直線的に振動することが分かります。

下図に、直線偏光のイメージを描いてあります。光はz軸(正)方向に進んでおり、進行方向と垂直に振動しています。振動の様子のxy平面への写像を赤線で記してあります。横波は七色に色付けしてありますが、これは、電場の動きを理解しやすくするためで、実際の色とは関係がありません。xy平面を見ますと、電界ベクトルがどのようなふるまいをしているのかわかります。直線偏光では、その名前が示す通り直線に振動していることが分かります。

(2)円偏光

次に、円偏光です。

\(E_x = E_y ( \equiv E), \phi = \pm (\pi / 2) + 2m \pi\)の時、

\begin{gather}
E_x = E cos( \omega t – k z + \phi_x) \end{gather}
\begin{gather}
E_x = \mp E sin( \omega t – k z + \phi_y) \end{gather} (複号同順)

ですので、

\begin{gather}
E_x^2 + E_y^2 = E \end{gather} 

となります。つまり、xy平面への写像は円となります。\(\phi = (\pi / 2)+2m \pi \)の時、右回りとなり、\(\phi = -(\pi / 2)+2m \pi \)の時、左回りとなり、図は、Z軸(正)方向に右回りで進む波のイメージ例です。

(3)楕円偏光

最後に楕円偏光です。\(E_x \neq E_y\)で、\( \phi = \pm (\pi / 2) + 2m \pi\)(m:整数)の時、それぞれ右回り、左回りの楕円偏光となり、次のようになります。

\begin{gather}
\frac{E_{x0}}{E_x} + \frac{E_{y0}}{E_y} = 1 \end{gather}

また、\( \phi = \pm (\pi / 2) + 2m \pi\)ではないときには、

\begin{gather}
E_x = E cos( \omega t – k z + \phi_x) \end{gather}
\begin{gather}
E_x = \mp E sin( \omega t – k z + \phi_y + \phi) \end{gather} 

であり、楕円は次式で表されます。

\begin{gather}
\frac{E_{x0}}{E_x} + \frac{E_{y0}}{E_y} – 2 \frac{E_{x0} E_{y0}}{E_x E_y} cos{\phi}= sin^2{\phi} \end{gather}

下図に、長軸が傾いて右回りの楕円偏光のイメージを示します。

イメージ画像は、R言語にて作成しました。そのコードを記しておきます。楕円偏光の様子のコードです。

library("threejs")

x_min = -pi
x_max = pi
y_min = -3
y_max = 3
z_min = -3
z_max = 3

x <- seq(x_min, x_max, by=0.03)
y <- cos(x*3)
z <- cos(x*3 - pi/5)
x_zy <- rep(x_min, length(x))

axis_x_yz<-c(x_min, x_min, x_min, x_min, x_min, x_max)
axis_y_yz<-c(y_min, y_max, 0, 0, 0, 0)
axis_z_yz<-c(0, 0, z_min, z_max, 0, 0)

scatterplot3js(axis_x_yz, axis_y_yz, axis_z_yz, xlim=c(-3, 3), ylim=c(-3, 3), zlim=c(-3, 3), size = 0.1, color="blue", axisLabels=c("Z", "Y", "X")) %>%
  lines3d(c(1, 3, 5), c(2, 4, 6), color = "black", lwd=1) %>%
  points3d(x, y, z, size = 0.2, color=rainbow(length(z))) %>%
  points3d(x_zy, y, z, size = 0.1, color="red") 

【基本】光の性質

1.Maxwell方程式

光の特性は、これを電磁波をみなして評価することが多いです。電磁波の振る舞いはMaxwellの方程式として知られ、以下の様に表されます。

\begin{gather}
\nabla \times \mathbf{E} = – \frac{\partial \mathbf{B}}{\partial t} \label{eq:1} \end{gather}
\begin{gather} \nabla \times \mathbf{H} =\frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t} \label{eq:2} \end{gather}
\begin{gather} \nabla \cdot \mathbf{D} = 0 \label{eq:3} \end{gather}
\begin{gather} \nabla \cdot \mathbf{B} = 0 \label{eq:4} \end{gather}

ここで、\(E, H, D, B\)は、それぞれ電磁波の電界、磁界、電束密度、磁束密度を表すベクトルで、空間と時間の関数です。また、誘電率\(\epsilon\)と透磁率\(\mu\)を用いて、次の関係があります。

\begin{gather} \mathbf{D} = \epsilon \mathbf{E} \label{eq:5} \end{gather}
\begin{gather} \mathbf{B} = \mu \mathbf{H} \label{eq:6} \end{gather}

2.波動方程式の導出と光の速度

波動方程式を導出して光の性質を見ていきます。以降、真空または誘電体(電荷も電流もない透明媒体)を考えます。(よって、式(3)と式(4)が成り立っています。)

式(2)の両辺を時間で偏微分すると、

\begin{gather} \nabla \times \frac{\partial \mathbf{H}}{\partial t} = \epsilon \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2} \label{eq:7} \end{gather}

となります。また、式(1)の両辺のrotをとり、式(7)を考慮すると、

\begin{gather}
\nabla \times \nabla \times \mathbf{E} = – \mu \nabla \times \frac{\partial \mathbf{H}}{\partial t} = – \epsilon \mu \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2} \label{eq:8} \end{gather}

となります。ここで、ベクトル解析の公式より、

\begin{gather}
\nabla \times \nabla \times \mathbf{E} = \nabla (\nabla \cdot \mathbf{E}) – \nabla^2 \mathbf{E} = -\nabla^2 \mathbf{E}
\label{eq:9} \end{gather}

となります。式(8)と式(9)から、次の式が得られます。

\begin{gather}
\nabla^2 \mathbf{E} = \epsilon \mu \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2}
\label{eq:10} \end{gather}

ここで、

\begin{gather}
\nu = 1 / \sqrt{\epsilon \mu}
\label{eq:11} \end{gather}

とすると、電界について次の関係が得られます。

\begin{gather}
\nabla^2 \mathbf{E} = \frac{1}{\nu^2} \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2}
\label{eq:12} \end{gather}

また、同様に磁界についても次の式が得られます。

\begin{gather}
\nabla^2 \mathbf{H} = \frac{1}{\nu^2} \frac{\partial^2 \mathbf{H}}{\partial t^2}
\label{eq:13} \end{gather}

式(12)と式(13)はともに、任意の関数が時間によって形を変えずに空間を移動する様子を表す波動方程式です。ちなみに、波動方程式は電磁波に限った方程式ではなく、すべての波を表す一般的な方程式です。例えば、弾性体中の縦波や、弦の振動、潮の満ち引き、電線を伝わる波なども表現します。\(\nu\)は、同じ位相の点が進む速度を表し、位相速度と呼ばれています。3次元の場合、波動の位相が等しい各点は曲面になり、この面を波面と呼んでいます。ただし、実際は媒質が移動するのではなく、単にその場で振動をしているだけです。

式(11)に真空の誘電率\(\epsilon_0\)と透磁率\(\mu_0\)を入れると、真空中の速度が求まります。

\begin{gather}
\epsilon_0 = 8.85418717 \times 10^{-12} [F/m]
\label{eq:14} \end{gather}
\begin{gather}
\mu_0 = 4 \pi \times 10^{-7} [H/m]
\label{eq:15} \end{gather}

これより、光の速度は次の様に求まります。

\begin{gather}
c = 1 / \sqrt{\epsilon_0 \mu_0} = 2.99792458 \times 10^{8} [m/s]
\label{eq:16} \end{gather}

これは、とりもなおさず光が電磁波であることの証左です。今後、光を表すので、速度\(\nu\)をcとします。

3.波動方程式の一般解

波動方程式の一般解を見てみます。簡単のため、1次元で考えてみます。式(12)は、次の様に表されます。

\begin{gather}
\frac{\partial^2 E}{\partial x^2} = \frac{1}{c^2} \frac{\partial^2 E}{\partial t^2}
\label{eq:17} \end{gather}

この一般解は、次の様に波を表す関数\(f, g\)が時間tと変位xの一時結合となっています(検算をすれば簡単にわかります。)。

\begin{gather}
E = f(x – c t) + g(x + c t)
\label{eq:18} \end{gather}

つまり、fの時間に対する変化と位置に対する変化が同じということです。ということは、x軸(正)に対して起こった変化が、t軸(負)に対して起こるということです。これは、波が形を変えずに伝搬していく現象そのものです。

ただし、関数f,gが具体的にどのような形かは、この微分方程式だけからは分かりません。その形は最初の波形(初期条件)と境界での反射の条件(境界条件)によって定まります。一般に解は正弦関数や余弦関数を用いることが多いです。なぜなら、これらの関数によってすべての波を表現できるからです。

一般解のもつもう一つの重要な意味は、一時結合\(\xi = x – c t\)が一定値をとるなら、\(f(\xi)\)も一定値をとります。この場合、x-t平面で考えるとxはtに対して傾きcの直線となり、その直線に沿って波の変位が一定の部分が移動しているということです。つまり、\(f(\xi)\)は形を保ったままx軸(正)の方向へ速度cで進んでいくことになります。

ここまでは、1次元で現象を確認しましたが、これを空間内で考えるため3次元に拡張します。波動の進行方向を表す単位ベクトル\(\mathbf{e}\)と位置ベクトル\(\mathbf{r}\)を用いて、次のようにあらわされます。

\begin{gather}
\mathbf{E} = \mathbf{f}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} – c t) + \mathbf{g}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} + c t)
\label{eq:19} \end{gather}

eとrの内積により、その方向へ進んだ距離を表します。

4.横波

波動方程式の一般解から、電磁波が横波であることを確認します。式(3)と式(5)から、電界は発散しないことが分かります。すなわち、

\begin{gather}
\nabla \cdot \mathbf{E} =0 \label{eq:20} \end{gather}
\begin{gather}
\nabla \cdot (\mathbf{f}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} – c t) + \mathbf{g}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} + c t)) =0 \label{eq:21} \end{gather}\begin{gather}
\frac{\partial}{\partial x}(f_x + g_x) + \frac{\partial}{\partial y}(f_y + g_y) + \frac{\partial}{\partial z}(f_z + g_z) =0 \label{eq:22} \end{gather}
\begin{gather}
e_x(f’_x + g’_x) + e_y(f’_y + g’_y) + e_z(f’_z + g’_z) =0 \label{eq:23} \end{gather}
\begin{gather}
\mathbf{e} \cdot (\mathbf{f} + \mathbf{g}) =0 \label{eq:24} \end{gather}

ベクトルeとf+gの微分の内積が0ということは、電磁波の進行方向には電場は変化しないということです。すなわち、電場は進行方向と垂直方向にしか存在しえない、つまり、横波ということです。磁場についても同様なことが言えます。

5.電場と磁場

電場と磁場の関係を見てみます。簡単のため、z軸方向に進む電磁波でx方向の振幅成分だけがあるとします。つまり、

\begin{gather}
E_x = f(z-ct) + g(z+ct) \label{eq:25} \end{gather}
\begin{gather}
E_y =0 \label{eq:26} \end{gather}
\begin{gather}
E_z =0 \label{eq:27} \end{gather}

と表される電磁波を考えます。式(1)において、各成分に分解して考えます。

\begin{gather}
\frac{\partial E_y}{\partial z} – \frac{\partial E_z}{\partial y} + \frac{\partial B_x}{\partial t} = 0 \label{eq:28} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial E_x}{\partial z} – \frac{\partial E_z}{\partial x} + \frac{\partial B_y}{\partial t} = 0 \label{eq:29} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial E_y}{\partial x} – \frac{\partial E_x}{\partial y} + \frac{\partial B_z}{\partial t} = 0 \label{eq:30} \end{gather}

ここで、式(25)、(26)、(27)を代入すると、

\begin{gather}
\frac{\partial B_x}{\partial t} = 0 \label{eq:31} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial B_y}{\partial t} = – f'(z-ct) – g'(z+ct) \label{eq:32} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial B_z}{\partial t} = 0 \label{eq:33} \end{gather}

となります。tで積分すると、次の式となります。

\begin{gather}
\partial B_y= \frac{1}{c} f(z-ct) – \frac{1}{c} g(z+ct) \label{eq:34} \end{gather}

このように、電場と磁場は定数cの違いはありますが、同じ形で進むことになります。また、電場はx成分だけだったものが、磁場はy成分のみとなっています。つまり、電場と磁場は直交していることが分かります。

6.さいごに

以上のように、Maxwell方程式から波動方程式を導出し、その一般解を解釈することで、波は波形を保ったまま伝搬する事、波は横波であること、電場と磁場は直交していることを示しました。

【基本】電磁波の波長と周波数

光の周波数\(\nu\)は単位時間の波の繰り返し数、波長\(\lambda\)は波の繰返し周期なので、速度\(v\)との間には

\begin{gather}
v = \lambda \nu
\end{gather}

の関係があります。また、媒質中の光の速度\(v\)は真空中の速度\(c\)と異なり、その比は媒質の屈折率として次のように定義されています。

\begin{gather}
n \equiv c / v = \sqrt{\epsilon \mu / \epsilon_0 \mu_0}
\end{gather}

ここで、\(\epsilon\),\(\mu\)は、それぞれ誘電率、透磁率であり、添え字0は真空を表します。このことから、

\begin{gather}
\lambda = v / \nu = c / \nu n
\end{gather}

を得ます。時間が媒質中でも真空中でも同じですので、媒質中の波長は真空中に比べて屈折率nだけ短くなることになります。つまり、光の進む長さが屈折率の割合だけ伸びたことになります。実際の長さに屈折率をかけた長さのことを光路長と呼びます。

波長と周波数は下図のようにまとめられます。可視光は約390nm~約760nmといわれています。これより長い波長を赤外(遠赤外)、短い波長を紫外、X線、γ線となります。ただし、各波の分類の境目は曖昧になっています。