【基本】フレネルロム

光の位相を変化させる光学素子として、フレネルロムがあります。こちらのページで説明しましたように、光の全反射の現象を利用して1/4ないし1/2波長の位相変化をさせます。1/2波長の位相変化は、1/4波長の位相変化を2回繰り返すことで実現しています。直線偏光を入れるとフレネルロム内部での全反射により光のp,s成分の位相差がπ/2となるので、出射光は円偏光となります。つまり、1/4波長板として機能します。また、逆に円偏光を入れると直線偏光が得られます。このように、フレネルロムは直線偏光と円偏光の変換素子として働きます。

このフレネルロムの特長としては、他の波長板より広い波長範囲があげられます。その原理からも分かりますように、複屈折波長板では困難な広帯域波長板として機能します。

波長帯域が広いので、白色光源の偏光方向を変えることもできます。これを利用した分光計測なども行われます。

また、レーザー応用装置では光アイソレータとしても使われます。フレネルロムに直線偏光の光が入ると円偏光として出てきます。この光が鏡等に反射して戻るときには入射光と反対回りの円偏光となります。この光が再度フレネルロムに入ると直線偏光で出てきますが、偏光の振動方向は入射光と直交しています。よって、フレネルロムの前に直線偏光子を置いておけば、反射光は光源には戻らないことになります。この原理から電子部品のダイオードと同じ働きをしていると見ることもできます。

レーザー装置の場合、反射光が光源に戻るとレーザーが不安定になります。よって、このような光アイソレータを用いて反射光が光源に戻らないようにします。光ディスクプレーヤーや光通信で利用されています。

フレネルロムの形状は、プリズム状で、内部で反射を起こしています。材質は、BK7や合成石英が多いようです。

実際の使用では、汚れなどには注意することはもちろんですが、光の入射角度も重要です。これをしっかり管理しないと所定の性能を得ることはできません。

このフレネルロムは、発明者であるフランスの物理学者オーギュスタン・ジャン・フレネルにちなんで名づけられました。

【基本】光の反射

光の材料への影響を考えるとき、反射率をR、吸収率をA、透過率をTとすると、
 R+A+T=1
の関係が成り立ちます。これらの現象は、レーザー加工にとって重要な意味を持ちます。

レーザーが材料に何かしらの影響を与えるには、吸収が一番重要です。レーザーのエネルギーが吸収され、熱もしくは化学的な反応となって材料を除去します。もしくは、光造形法ですと材料を固化して形状を創生します。したがって、レーザーのエネルギーをうまく吸収させることによって効率よく加工ができます。

例えば、金属加工を考えた場合、透過率Tは0に近いですから、吸収率Aを大きくするには反射率Rを小さくすれば良いことがわかります。この、反射率Rを詳しく見ていきます。

反射率Rは、その定義から次の式で表されます。

\begin{gather}
R = \frac{I_R}{I_0}
\end{gather}

屈折率がそれぞれn1, n2の媒質1から媒質2へ光が入射する時、入射光の角度θiと透過光の角度θtを用いて、反射率Rは次式で表されます。

\begin{gather}
R = \frac{ n_1 \cos \theta_i – n_2 \cos \theta_t }{n_1 \cos \theta_i + n_2 \cos \theta_t}
\end{gather}

垂直に光が入射する場合、比屈折率をn=n1/n2とした場合、この反射率Rは、

\begin{gather}
R = \frac{ (n-1)^2}{(n+1)^2}
\end{gather}

となります。ここで、複素数を用いた屈折率を考えます。屈折率nとダンピングファクターk(波数ではありません)を用いると、反射率Rは次のようになります。

\begin{gather}
\hat{n} = n – ik
\end{gather}
\begin{gather}
R = | \frac{ \hat{n}-1}{\hat{n}+1} |^2 = \frac{(n-1)^2 + k^2}{(n+1)^2 + k^2} = \frac{n^2 + k^2 + 1 -2n}{n^2 + k^2 + 1 +2n}
\end{gather}

ここで、n,kの関係を求めるために、波動方程式を考えます。

光の性質の項では、Maxwell方程式を用い、光の性質を確認しました。ここでは、磁場Hの変化を次のように表しました。

\begin{gather}
\nabla \times \mathbf{H} =\frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t}
\end{gather}

しかし、電流は真の電流の他に電束密度の時間変化に伴う変位電流が存在することを考慮すると、次の関係が成り立ちます(Amp`ere-Maxwellの法則)。

\begin{gather}
\nabla \times \mathbf{H} = j + \frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t}
\end{gather}

この関係を用いて、波動方程式を再度計算すると次のようになります。

\begin{gather}
c^2 \nabla^2 \mathbf{E} = \frac{\sigma}{\epsilon_0} \frac{\partial \mathbf{E}}{\partial t} + \epsilon \frac{ \partial ^2 \mathbf{E}}{\partial t^2}
\end{gather}

x成分のみを考えると次の通りとなります。

\begin{gather}
c^2 \frac{\partial^2 E_x}{\partial z^2} = \frac{\sigma}{\epsilon_0} \frac{\partial E_x}{\partial t} + \epsilon \frac{ \partial ^2 E_x}{\partial t^2}
\end{gather}

この解を次のように置きます。

\begin{gather}
E_x = E_0 exp[i \omega (t – \frac{zn}{c})]
\end{gather}

すると、以下の関係が求まります。

\begin{gather}
n^2 = \epsilon – \frac{\sigma}{\epsilon_0 \omega} i = \epsilon – \frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu} i
\end{gather}

ここで、nを複素数で\(\hat{n}\)とすると、

\begin{gather}
\hat{n}^2 = n^2 – k^2 – 2 n k i = \epsilon -\frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu} i \equiv \epsilon_1 – i \epsilon_2
\end{gather}

ですので、Maxwell relation(\(\sigma \approx 0, \epsilon \approx n^2\))から、次の関係が求まります。

\begin{gather}
\epsilon = n^2 – k^2
\end{gather}
\begin{gather}
\sigma = 4 \pi \epsilon_0 n k \nu
\end{gather}
\begin{gather}
\epsilon_1 = n^2 – k^2
\end{gather}
\begin{gather}
\epsilon_2 = 2 n k = \frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu}
\end{gather}

これらの関係と、周波数が小さい領域\(\nu < 10^{13} Hz\)では、\(\sigma / 2 \pi \epsilon_0\)が極めて大きいことを考慮すると、次式が求まります。

\begin{gather}
n^2 = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2 + (\frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu})^2} + \epsilon \right) = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2_1 + \epsilon^2_2} + \epsilon_1 \right) \approx \frac{\epsilon_2}{2}
\end{gather}
\begin{gather}
k^2 = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2 + (\frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu})^2} – \epsilon \right) = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2_1 + \epsilon^2_2} – \epsilon_1 \right) \approx \frac{\epsilon_2}{2}
\end{gather}
\begin{gather}
n^2 \approx k^2 \approx \frac{\epsilon_2}{2} \approx \frac{\sigma}{4 \pi \epsilon_0 \nu}
\end{gather}

反射率Rの関係に戻り、上記の関係を用いると、反射率Rに関して次式が求まります。

\begin{gather}
R = | \frac{ \hat{n}-1}{\hat{n}+1} |^2 = \frac{(n-1)^2 + k^2}{(n+1)^2 + k^2} = \frac{n^2 + k^2 + 1 -2n}{n^2 + k^2 + 1 +2n}
\end{gather}
\begin{gather}
\approx 1 – \frac{4 n}{2n^2 + 2n + 1} \approx 1 – \frac{2}{n} = 1 – 2 \sqrt{ \frac{4 \pi \epsilon_0 \nu}{\sigma}} = 1 – 4 \sqrt{\frac{\nu}{\sigma} \pi \epsilon_0}
\end{gather}

この関係式は、Hagen-Rubensの公式と呼ばれ、反射率Rと材料特性の関係を示しています。主に金属は波長が長いほど反射率は高くなります。また、電気伝導度が大きいほど反射が大きくなることが分かります。

例えば、銅はレーザーで切りにくい。という話を聞いたことがあるかもしれません。これは、上記の関係があるためだと考えられます。

【基本】全反射

スネルの法則 \( \sin \phi_1 = (n_2 / n_1) \sin \phi_1 \) において、媒質1の屈折率が媒質2のそれより大きい場合(n1 > n2)、φ2の方がφ1より大き。ここで、φ2は90°以下であるから、この式を満足する最大の角度Φcは\( \sin \phi_c = n_2 / n_1\)です。この角度を臨界角と呼びます。入射角が臨界角以上では、入射光が全て反射します。この状態を全反射と呼びます。

ここで、全反射の状態(φc < φ1 < 90°)での振幅反射率を求めてみます。この時、φ2の実数解はありませんが、虚数解として

\begin{gather}
\cos \phi_2 = \pm i \sqrt{\frac{\sin^2 \phi_1}{n^2} – 1}
\end{gather}

があります。ここで、n2/n1を相対屈折率としてnで表示してあります。 このうち、正の解を、こちらで示した振幅屈折率の式に代入すると

$$ r_p \equiv R_p / A_p = \tan( \phi_1 – \phi_2 ) / \tan( \phi_1 + \phi_2) = \frac{n^2 \cos \phi_1 – i \sqrt{\sin^2 \phi_1 – n^2}}{n^2 \cos \phi_1 + i \sqrt{\sin^2 \phi_1 – n^2}}$$
$$ r_s \equiv R_s / A_s = – \sin( \phi_1 – \phi_2 ) / \sin( \phi_1 + \phi_2) = \frac{ \cos \phi_1 – i \sqrt{\sin^2 \phi_1 – n^2}}{ \cos \phi_1 + i \sqrt{\sin^2 \phi_1 – n^2}}$$

が得られます。振幅反射率が複素数で得られることから\(r_p \equiv |r_p| e^{i \theta_p}\), \(r_p \equiv |r_s| e^{i \theta_s}\)を使って表すと

$$ |r_p| = 1, \tan \frac{\theta_p}{2} = – \frac{\sqrt{\sin^2 \phi_1 – n^2}}{n^2 \cos \phi_1}$$
$$ |r_s| = 1, \tan \frac{\theta_s}{2} = – \frac{\sqrt{\sin^2 \phi_1 – n^2}}{ \cos \phi_1}$$

となります。反射率は1ですが、位相はΘp, Θsだけ変化することになります。

この位相差は、

$$ \theta \equiv \theta_p – \theta_s = \tan \frac{\theta}{2} = \frac{\cos \phi_1 \sqrt{\sin^2 \phi_1 – n^2}}{ \sin \phi_1}$$

となります。φ1=π/2, φcの時0となります。

また、極大値をとるφ1は、\(d(\tan (\theta / 2))/d \phi_1 = 0\)から、\(\sin^2 \phi_1 = 2n^2 / (1 + n^2)\)となることがわかります。この時、最大値は、\(\tan(\theta_{max}) = (1-n^2)/2n\)となります。

全反射では、p,sの位相が変化することから、遅相子を構成することができます。この代表例がフレネルロムです。

【基本】レンズの製造

レーザー加工機では、多くの光学部品が使われています。その中でもレンズは集光のために非常に重要な部品です。ガラスレンズの製造工程を簡単に見ていきます。

ガラスレンズは、ガラス製造工場とレンズ加工工場で製造されます。その流れな次のようになっています。
①ガラスの溶解
②ガラス切断、丸め
③荒ずり
④砂かけ
⑤研磨
⑥芯取り
⑦コーティング
このうち、①と②はガラス製造工場で行われ、③以降がレンズ加工工場で行われます。

①ガラスの溶解

ガラスを1500℃ぐらいに加熱して溶解させ、成分を均一にします。その後600℃ぐらいに冷却されます。それから、週単位の時間をかけてゆっくりと冷やされ固化させます。

この工程は、昔はセラミックのるつぼで行われたようですが、ガラスによって浸食されることがあるため、るつぼ表面にコーティングをしたものが開発されました。現在では、効率よく製造するために連続溶解装置が使用されているようです。

②ガラス切断、丸め

ガラスを適当な大きさのブロックに切断されます。外形が丸いレンズは大まかに丸く削られます。表面はまだまだ荒い状態で、不透明で白く見えます。

③荒ずり

レンズの表面を球状に加工し、形状をレンズに近づけます。カップ状のダイヤモンド砥石を回転させながら、傾きを変化させ球面を作っていきます。砥石の軌道を変化させることで様々な曲率半径のレンズを作ることができます。この作業により最終形状に近いレンズ形状となります。

④砂かけ

鋳鉄製の皿にレンズを貼り付け、研削剤(砂やダイヤモンド)で削っていきます。通常は、効率よく製作するために複数のレンズを同時に研磨していきます。この作業により、レンズはほぼ仕上げ寸法と同じになりますが、表面はすりガラス状です。

⑤研磨

研磨機にてレンズ表面を磨きます。研磨剤(酸化セリウムなど)を描けながら磨き皿にて表面がサブミクロンオーダーになるまで磨かれます。

最後に、設計通りの曲率半径となっているかを原器にて確認します。

⑥芯取り

レンズの光軸が表面曲率のちょうど中心を通るようにするために、外形を加工します。レンズ表裏をクランプして回転させながら外形を砥石で削っていきます。

⑦コーティング

必要に応じて、レンズ表面に反射防止の薄膜を蒸着します。真空蒸着層の中にレンズを入れ、コーティング材料を蒸発させます。

【基本】レンズの種類

レーザー加工機では、レーザーをその光路中で集光、発散させるためにレンズを用います。この役割は、レンズの表面形状によって決まります。

広く使われるレンズは、作りやすくコストが安いため表面が球面の球面レンズですが用途によって様々な形状があります。

レンズを表面形状によって分類すると以下のようになります。

①球面レンズ
②非球面レンズ
③シリンドリカルレンズ
④トロイダルレンズ
⑤フレネルレンズ
⑥屈折率分布レンズ
⑦回折レンズ

①球面レンズ

球面レンズは、表面が球状であり表面が球中心から同じ距離にある面で構成されています。製作が簡単で安いため、広く普及しています。これは、2つの物体をすり合わせることで精度よく加工ができるためです。表面の曲率半径を変えることで光の屈折が変わります。平面は、曲率半径無限大の曲面と言えます。

球面レンズには、
・両凸レンズ
・平凸レンズ
・凸メニスカスレンズ
・両凹レンズ
・平凹レンズ
・凹メニスカスレンズ
があります。

②非球面レンズ

表面が球面ではないレンズです。表面形状は、放物面、楕円面など多項式で表され1枚で収差の少ないレンズを実現できます。しかし、製作が難しく以前はあまり実用化されていませんでしたが、技術の進歩により現在では普及が進みレンズ性能が向上しました。

一般に表面形状は回転対称が多いですが、対称軸のない自由曲面のレンズもあります。最近では、眼鏡では境目のない遠近両用レンズとして、この自由曲面をもつレンズが使われているものもあるようです。

③シリンドリカルレンズ

シリンドリカルレンズは、円柱を母線に平行な面で切り取った形状のレンズのことです。かまぼこのように、一つの断面はレンズの作用をせず、それと垂直方向の断面がレンズの作用をします。ある平面で縦と横の比を変更したいときなどに使用します。レーザー加工では、ラインビームを作成するときに利用されます。

また、このシリンドリカルレンズが表面に多く配置されたレンチキュラーレンズというものもあります。光線の分割集光、散乱を効率よくできるため、立体映像等に利用されています。

④トロイダルレンズ

トロイダルレンズは、円環状のレンズでドーナツの表面のように、縦と横で曲率がことなる表面を持っています。シリンドリカルレンズは、トロイダルレンズの特殊形状ということになります。乱視用のレンズに、このレンズが用いられています。

⑤フレネルレンズ

フレネルレンズは、薄い板の表面に微細な複数のノコギリ状の突起を形成することでレンズの役割を果たすレンズです。通常は、同心円状の突起を形成します。分割数を多くするほど厚さを薄くすることができます。

径の大きなレンズを作るとどうしても重くなります。このデメリットをなくすために、このレンズが考案されました。フレネルレンズでは、レンズの厚さを薄く軽くできるメリットがあります。しかし、表面の段差のために、シャープな像を作ることができないという問題もあります。元々は、灯台のレンズとして発明されたようです。

用途としては、照明や大型テレビのスクリーン、一眼レフカメラのファインダーなどがあるようです。

⑥屈折率分布レンズ

屈折率分布レンズは、レンズ表面での屈折を利用するのではなく、レンズ内部の屈折率の購買を利用して光を曲げるレンズです。グリン(GRIN; Gradient Index)レンズとも呼ばれます。

代表的なものにセルフォック®レンズがあります。円筒形をしたレンズ内部に端面から母線と平行な方向に光を入れて使います。円筒内部は、中心軸から円筒表面に向かい放物線状に屈折率が変化しており、光を集光・発散させる機能をもたせています。

⑦回折レンズ

回折レンズは、レンズ表面に微細パターンを記録したレンズで、これにより光が回折されレンズと似た作用を持ちます。

回折レンズの製作は、ホログラムの原理を利用して2つの光を重ね合わせた干渉縞を記録する方法と、リソグラフィの原理で微細なパターンを作る方法があります。

【基本】振幅と強度の反射率と透過率

こちらでは、反射と屈折の原理をマクスウェル方程式により求めましたが、ここでは、反射と透過の振幅と強度を見てみます。

こちらの図より、入射光の電界ベクトルは次のように表されます。

\begin{gather}
E_{ax} = A_p \cos{\phi_1} \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{ay} = A_s \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ] \end{gather}
\begin{gather}
E_{az} = -A_p \sin \phi_1 \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ]
\end{gather}

反射光は、次の通りです。

\begin{gather}
E_{rx} = R_p \cos{\phi^{‘}_1} \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{ry} = R_s \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ] \end{gather}
\begin{gather}
E_{rz} = -R_p \sin \phi^{‘}_1 \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ]
\end{gather}

そして、透過光は以下の通りとなります。

\begin{gather}
E_{tx} = T_p \cos{\phi_2} \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{ty} = T_s \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{tz} = -T_p \sin \phi_2 \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}

磁界ベクトルの各成分はマクスウェル方程式より同様に求められます。

電磁波は連続的に進むので、媒質1側にある入射光と反射光の振幅の和は媒質2にある透過光の振幅と同じである必要があります。このことから、
$$ E_{aj} + E_{rj} = E_{tj} $$
$$ H_{aj} + H_{rj} = H_{tj} $$
$$ (j = x, y) $$
が成り立つはずです。これに、各電磁波成分と\(\phi_1 = \pi – \phi^{‘}_1\)を考慮すると、次の式が導出されます。

\begin{gather}
(A_p – R_p) \cos \phi_1 = T_p \cos \phi_2
\end{gather}
\begin{gather}
A_s + R_s = T_s
\end{gather}
\begin{gather}
\sqrt{ \xi_1} (A_s – R_s ) \cos \phi_1 = \sqrt{ \xi_2 } T_s \cos \xi_2
\end{gather}
\begin{gather}
\sqrt{ \xi_1} (A_p + R_p ) = \sqrt{ \xi_2 } T_p
\end{gather}

ここで、スネルの法則
$$ \frac{ \phi_1 }{ \phi_2 } = \frac{n_1}{n_2} = \sqrt{ \frac{ \xi_2 }{ \xi_1 } } $$
を用いて、p成分とs成分の振幅反射率rp, rs と振幅透過率tp, tsを求めると、
$$ r_p \equiv R_p / A_p = \tan( \phi_1 – \phi_2 ) / \tan( \phi_1 + \phi_2) $$
$$ r_s \equiv R_s / A_s = – \sin( \phi_1 – \phi_2 ) / \sin( \phi_1 + \phi_2) $$
$$ t_p \equiv T_p / A_p =  2 \cos \phi_1 \sin \phi_2 / \sin ( \phi_1 + \phi_2 ) \cos ( \phi_1 – \phi_2) $$
$$ t_s \equiv T_s / A_s = 2 \cos \phi_1 \sin \phi_2 / \sin ( \phi_1 + \phi_2 ) $$
となり、フレネルの公式と呼ばれる関係が得られます。

光が垂直に入射する場合を考えると、入射角が小さいので
$$ \sin \phi_1 \simeq \phi_1, \cos \phi_1 \simeq 1 $$
と近似でき、スネルの法則も
$$ n_1 \phi_1 = n_2 \phi_2 $$
となり、\(\phi_1 \rightarrow 0\)の極限をとると
$$ r_p = (-n_1 + n_2) / (n_1 + n_2) $$
$$ r_s = (n_1 – n_2) / (n_1 + n_2) $$
$$ t_p = 2 n_1 / (n_1 + n_2) $$
$$ t_s = 2 n_2 / (n_1 + n_2) $$
となります。したがって、透過率は常に正となります。\(n_2 > n_1 \)の時、反射率rsは負となり位相が反転することになります。また、\(n_2 / n_1 \rightarrow \infty \)の時、反射率は-1で、透過率は0となり、完全に反射されることが分かります。

【基本】装置の性能維持

1. 装置の性能維持のために

長期にわたり安定した加工を行うためには、装置の性能維持が不可欠です。性能を確認する方法や基準は様々あると思います。弊社が得意としているのは、レーザー微細加工ですので、加工結果を評価して装置が正常に稼働しているか評価することは理にかなっていると思います。

加工結果から装置の性能維持を確認する方法としては、例えば、ある時期に加工した結果を記録しておき、その後、修理やメンテナンス後に同じ条件で加工して同じ結果が得られるかを確認する方法があります。

では、得られたデータから装置の性能が維持されているかどうかをどのように評価すれば良いでしょうか?

一つの方法は、統計的に評価する方法です。検定することにより確認する方法を以下に記します。統計的な計算にはR言語を使用します。

2. 評価

2.1 データ

ある時点で、ステンレス板へ直径φ100μmの貫通穴を40穴加工したとします。その加工穴の直径を全て測定すると、以下のdat0というデータが得られたとします。

> dat0
 [1]  99.29  94.97 100.78 101.17 101.78  91.89 101.10 101.55  92.89 104.78 103.92 111.50 100.78 100.23 100.48 100.35
[17]  90.76  91.64  99.61  97.09 100.27  89.44  92.51  94.49 104.93  94.51  96.00 100.40  98.39 100.73 111.53  94.38
[33]  98.47  97.42 107.56  96.15  99.59 103.94  94.71 108.28

その後、装置をメンテンナンスしました。従来と全く同じ条件で同じようにステンレス板へ直径Φ100μmの穴加工を40回行いました。その測定結果が、dat1として得られました。

> dat1
 [1] 107.55  97.05 106.23 102.22 105.38 102.96 109.92  95.39 100.36 102.00  97.53  97.26 103.39 102.71  88.20 109.74
[17] 105.00 118.00 107.61 100.82 120.28 120.49  96.19 106.31 102.23 104.62 104.87  95.93 105.21 114.00 102.52 102.52
[33] 111.89 108.89  93.61 104.87 113.42 111.99 106.02 107.83

結果をヒストグラムで確認してみます。

library(tidyverse)
library(ggplot2)
library(reshape2)
dat <- data.frame(dat0, dat1)
dat %>% melt() %>% 
  ggplot() + 
  geom_histogram(aes(x=value, fill=variable))  

性能が維持できているかどうかは、加工穴の平均直径が2回の加工結果でほぼ同じであると言えればよさそうです。ヒストグラムから、何となく2つの結果が似ているように見えます。性能は維持できていそうです。

より正確に評価するために、この2つのデータdat0, dat1から、メンテナンス後の装置が従来と同じ性能を維持しているか見てみます。

2.2 正規性の確認

検定を行うためには、データが正規分布しているかどうかが重要です。これにより検定方法が変わってきます。正規性の確認は、シャピロ・ウィルク検定で行います。

> shapiro.test(dat0)

	Shapiro-Wilk normality test

data:  dat0
W = 0.9765, p-value = 0.5618

> shapiro.test(dat1)

	Shapiro-Wilk normality test

data:  dat1
W = 0.97739, p-value = 0.5935

p値(p-value)を見ますと、0.05以上ですので、帰無仮説(H0:正規分布している)が棄却されなかったことになります。つまり、dat0, dat1とも正規分布しているとしてよさそうです。

2.3 等分散の確認

2つのデータは同じ分散であるか調べます。等分散の検定はF検定です。

> var.test(dat0, dat1)

	F test to compare two variances

data:  dat0 and dat1
F = 0.57319, num df = 39, denom df = 39, p-value = 0.0862
alternative hypothesis: true ratio of variances is not equal to 1
95 percent confidence interval:
 0.3031598 1.0837410
sample estimates:
ratio of variances 
         0.5731899 

p値が0.05以上ですので、帰無仮説(H0:等分散である)は棄却されませんので、2つのデータは同じ分散であると言えます。

2.4 t検定

前節で等分散であることが分かりましたので、t検定(スチューデントのt検定)を行います。等分散でない場合にはWelchの検定を行うことになります。

> t.test(dat0, dat1, var.equal = TRUE)

	Two Sample t-test

data:  dat0 and dat1
t = -4.0146, df = 78, p-value = 0.0001359
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
 -8.330322 -2.807178
sample estimates:
mean of x mean of y 
  99.2565  104.8252 

p値が0.05以下ですので、この結果、帰無仮説(H0:2つの平均値データに差がある)が棄却され2つのデータに差がない、つまり同じ加工条件で加工した場合、装置は同じ加工結果を得られたことになります。よって、装置の性能は維持できていると言えそうです。

3. まとめ

検定という統計手法を用いることで、装置の性能維持ができていることを確かめる方法を見てきました。評価方法は様々ありますが、加工機ですから加工結果で性能を評価することが最も重要ではないでしょうか。

【基本】反射防止コーティング

光がレンズに境界面へ入射するときに、反射が起こります。一般に反射率は数%と言われ、光そのものを利用するアプリケーションでは損失となります。レーザー加工機のような複数のレンズ等の光学部品を使用する場合、各境界面でこの損失がおこり合計すると大きな損失となります。また、光が逆方向など予期せぬ方向に進んだり、ゴーストを発生させるという問題もあります。

この反射を防ぐために反射防止(AR)コーティングを施したレンズを使用します。この反射防止の性能は、使用する光の波長や入射角によって異なります。レーザーの場合、単一波長ですので、その波長での特性を考慮すれば良いですが、複数の波長の光を使用する場合には特に注意が必要です。

コーティング材料は、さまざまありますが、最もシンプルで広く使われているのは、フッ化マグネシウム(MgF2)の単層膜で、中心波長550nmで比較的広帯域での利用が可能です。

【基本】ガラスの種類

1.光学ガラスの概要

レーザー加工機では、レーザー光源から加工点まで様々な光学部品を用いてレーザーを導きます。その多くはガラスが用いられています。このような光学ガラスは様々なメーカーで製造され販売されていますが、大きく分けてクラウンガラスとフリントガラスの2種類に分けられます。ガラスの主成分は二酸化ケイ素ですが、これに加える材料により種類が分かれます。

クラウンガラスは、二酸化ケイ素に酸化ナトリウムや酸化カルシウムを混ぜたもので、波長分散が小さく(アッベ数50~55以上)、屈折率の小さいガラスです。アッベダイアグラムの左半分に示され、KないしCの記号で書かれます。代表的なガラスとしてはBK7があります。

一方、二酸化ケイ素に酸化鉛を混ぜたものが、フリントガラスで、波長分散が大きく(アッベ数50以下)、屈折率の大きいガラスです。アッベダイアグラムの右半分を占め、記号Fで記されます。最近は環境問題から鉛を含まないフリントガラスも開発されています。

ガラスの性質を示す屈折率は、真空中の光速に対するガラス媒質中の光の速度の比で定義され、媒質中でどれだけ光が遅く進むかを表しています。この屈折率の評価には、ヘリウムのd線での波長 (587.6nm)が使わています。

機械的な特長としては、クラウンガラスは硬く重量が軽いのですが、フリントガラスは比較的柔らかく重いという特徴があります。

クラウンガラス、フリントガラスとも、それぞれさらに細かく分類されて販売されています。

2.色収差

通常のガラスレンズには、波長によって焦点位置が異なる色収差の問題があります。その補正のために、クラウンガラスとフリントガラスを組み合わせたアクロマチックレンズが使われます。クラウンガラスの両凸レンズとフリントガラスの平凹レンズの組み合わせで、赤と青の色収差をなくし焦点を一致させることができます。

この技術は、比較的安価なコンパクトデジカメでも使われています。例えば、CANON IXY210は、「7群9枚(両面非球面レンズ1枚)」のレンズ構成です。つまり、ダブレットand/orトリプレットのレンズが使われているということです。

【基本】高調波化

レーザーは、その基本波をそのまま加工に用いることもありますが、集光性や材料吸収性の観点から、波長変換をして高調波を用いることもあります。例えば、Nd:YAG, Nd3+:YVO4のからの基本波1064nmを変換素子を用いて波長変換し、2倍、3倍の振動数のレーザー光を作り出すことができます。周波数\(\omega(= 1 / \lambda)\)を2倍にした第2高調波(SHG:Second Harmonic Generation, 532nm)や3倍にした第3高調波(THG:Third Harmonic Generation, 355nm)が実際に加工では用いられています。さらに、あまり見かけませんが、第4高調波(FHG, 266nm)もあるようです。

この高調波を生み出す原理は、非線形結晶を透過させることで実現しています。

SHGの場合、\(\omega_2 = \omega_1 + \omega_1\)ですから、$$ 9398cm^{-1} + 9398 cm^{-1} = 18796 cm^{-1} \simeq 532 nm $$

THGの場合、\(\omega_3 = \omega_1 + \omega_2\)ですから、$$ 9398cm^{-1} + 18796 cm^{-1} = 28194 cm^{-1} \simeq 355 nm $$

FHGの場合、\(\omega_4 = \omega_2 + \omega_2\)ですから、$$ 18796cm^{-1} + 18796 cm^{-1} = 37592 cm^{-1} \simeq 266 nm $$

となります。しかし、変換効率は100%ではありませんので、変換するごとに出力は低下します。この変換効率の向上と高出力化が課題となっています。しかしながら、特に微細加工においては、紫外領域のレーザーが有利である場合が多いため非常に注目されています。

SHG, THGを発生させる光学素子としては、LBO結晶があります。また、FHGを発生させるには、KTP結晶とCLBO結晶が使われます。

多くのレーザーメーカーから高調波を発生させるレーザー光源が販売されています。波長変換部をモジュール化して光源と一体化したレーザーが多く見られます。