ガラスに微細な金属ラインをレーザーで成膜~装飾・アクセサリーなどへの応用とか?~

 透明なガラス基板に描くこと(成膜すること)微細な金属の線をレーザーを使って成膜し、
 下の動画1のように、市松模様の反射デザインをガラス面に形成することができます。
 尚、サンプルの作成は室温、大気雰囲気で実施しています。

 動画1での、市松模様デザインのサンプルは、左側の薄く見える四角形の部分です。
 1辺20mmの四角形の中に、1辺5mmの四角形16個で構成されています。
 そして、それらが、幅0.07mmの銅の膜の配列で構成されています。
 (実際のパターンは、画像1の観察画像参照)

 注意)動画には、ノイズ音として、加工装置などの音が少し入っています。
    消音かボリューム小さめでご覧ください。

動画1:ガラス基板にCuの微細ラインで市松模様を成膜

 DXFファイルなどから、パターンを入力すれば文字や絵(曲線)を描くことができます。
 レーザーでの成膜ですので、パターンマスクは不要、マスクレスでの成膜です。
 描ける範囲(面積)の制限はあります。
 
 一般に、印刷などでも、金属光沢を出すことができます。
 ただ、この方法では、実際の金属材料での反射という点も特徴の一つです。

 紹介した動画は、銅(Cu)でガラス基板(一般的なスライドガラス)上に成膜されています。
 ほかに、成膜材料としては、ステンレスでも同じ様に描画できます。
 成膜基板は、透明なアクリル板でも構いません。

 実際の見た目は、光のあたる角度で反射の様子が変わります。
 また、成膜材料の違いでも、反射の色合い自体も変化します。
 そのため、デザイン次第で、装飾品・アクセサリーなどにも利用できそうです。

 画像1は、動画1で示したパターンの一部分の観察画像です。
 幅70μmの銅のライン成膜と空白の幅が周期的にレーザーで成膜されています。
 もちろん、パターンの方向や間隔、直線or曲線などは自由に変えることができます。

【応用】次世代超大型望遠鏡(TMT)

次世代超大型望遠鏡(Thirty Meter Telescope: TMT)は、国立天文台が日本、米国、カナダ、中国、インドによる国際協力により進める大型望遠鏡建設計画です。既存の8m級の望遠鏡による研究をより大きく発展させることができると期待されます。2022年の本格運用を目指してプロジェクトが進められています。

このプロジェクトでは、プロジェクト名になっているように、口径30mの主鏡をもつ超大型の望遠鏡を建設します。これにより、従来の8m望遠鏡とくらべると解像力は約4倍(補償光学技術を含む)になり、集光能力は10倍以上となります。

この主鏡は、ガラスセラミックス製で、対角が1.44mの六角形をした鏡を492枚組み合わせることで実現されます。わずかに形状の異なる82種類の非球面鏡を6枚ずつ使用して主鏡を構成します。精度のよい観測をするため、鏡の表面粗さは2nmと非常に小さくなっています。

大気のゆらぎによる観測誤差を低減するため、赤外線による観測を行い、さらに、補償光学技術が用いられます。これにより宇宙から観測する宇宙望遠鏡以上の解像度を実現します。

この望遠鏡は、すばる望遠鏡と同じく、ハワイ島のマウナケア山頂に設置されます。標高4,200mの高地は世界中でもっとも天体観測に適している場所と言われています。既存のすばる望遠鏡との連携による新たな発見も期待されます。

この望遠鏡が完成すると太陽系外惑星をより詳しく知ることができ、生命が存在する新たな惑星の発見ができるかもしれません。また、宇宙の起源を解き明かす発見があるかもしれません。

こちらのサイトには、望遠鏡のギャラリーがあります。

透明アクリル板に金属(銅)をレーザーで成膜してみた。

 市販の透明アクリル板に銅を成膜して、文字とQRコードを描いてみました(画像1)。
 大気圧雰囲気、基板無加熱でマスクレス成膜です。

 成膜後に、水道水+界面活性剤で、指で擦りながら洗浄しました。
 その後に、ティッシュペーパーで拭き上げ処理をしても膜剥離しませんでした。
 ちなみに、画像2も同様の後処理をしています。
 また、簡易的なテープ剥離テストでも、膜剥離はありませんでした。

 今回の例では、文字を形成する細線の幅は約0.1mmです。
 
 光沢感を強調する為に、掲載画像では、サンプルに白色照明をあてています。
 画像1では、2パターンの色合いを示しています様に、ある程度の色合いの制御も可能です。

 画像2でも、アクリル板に銅を成膜した例を示しています。
 こちらは、手でサンプルのアクリル板を持ち、指で曲げています。
 繰り返し曲げる動作をしても、膜が剥離することはありませんでした。


 これらの成膜には、パルスレーザーを使用しています。
 但し、所謂、パルスレーザーデポジション(PLD)ではありません。
 この成膜方法は、PLDとは異なる考え方に基づいた成膜方法であり、現在、開発を進めています。
 
 今のところ、成膜可能な基板は透明ガラス、透明アクリル板ですが、その他の基板材料も検討中です。
 また、成膜可能な材料は、金属ならば対応可能と思われます。

 加飾、アクセサリー、ロゴ、コード(QR,JAN,etc)などへの利用可能性があると思われます。
 

スライドガラスに細い金属膜を成膜して、文字や図を書いてみた。

 こういうものを描いてみました(画像1)。
 大気雰囲気(=真空中ではない)、且つ、
 室温(=基板加熱無し、雰囲気加熱無し)でスライドガラスに描いています。

画像1の日本地図・文字は、細い金属薄膜で形成されています。
文字部分の線幅は、約0.05mmです。

これらの文字・パターンは、“細い薄膜”で形成されています。
しかし、パルスレーザーデポジション(PLD)による成膜ではありません。
また、ガラス基板へのマーキング加工でもありません。
英字で“Printing”と成膜していますが、印刷でもありません。つまり、インクではない。
適当な表現が見つからないので、“Printing”にしています…。
一応、印刷されたように見えるので。

特別な洗浄などはしていない普通のスライドガラス基板上に、レーザーを使用して、描いたものです。
どんなパターンの線も、事前にプログラムしておけば、マスクレスで描くことが可能です。

基本的には常温常圧雰囲気で作成できます。
原理的には、真空中でも成膜可能です。

膜の密着力について。
大気雰囲気で成膜していますが、普通に、水洗いしても、テープで剥離させようとしても剝がれたりはしません。
画像1は、ガラスに成膜した雰囲気をお伝えする為に、指でガラスを持っている画像を撮っています。
画像2は、画像1と同じパターンです。寸法イメージをお伝えする為、再掲しています。

ちょっとしたアクセサリーや、おもちゃ、ロゴ、QRコード、バーコード
などに使えるかもしれません…が、利用方法は、目的次第ですね。

ちなみに、今回の作成例では、金属膜が成膜されているのは、ガラス裏面です。
ガラスが透明なので、表面に成膜されているようにも見えますね。

裏面に成膜するメリットの一つは、ガラス表面が汚れても成膜パターン自体は傷つかず、汚れないことです。

おわりに、色の濃淡も条件次第で制御できることを示しておきます。

画像3は濃淡制御をした例です。
上段は薄め、下段は濃いめの文字になっていることが分かりますね。

“小さな”フレキシブルディスプレイや、ウェアラブルデバイスに応用できるかな? ~ポリイミドフィルムの微細加工~

 ポリイミド製のフィルムはフレキシブルデバイスや、ウェアラブルデバイスの基板として利用されることもあるようです。
 見た目は、大抵、薄茶色~茶色です。最近では、透明タイプも開発されているようです。
 フィルムの厚さは、数十μm~百数十μm程度のものが多いです。

 レーザー加工では、そのような材料の加工も得意(!?)です。
 つまり、数十μm程度の薄めの素材で、やわらかく、熱変性しやすい材料などの加工です。
 例えば、下の写真(画像1)のような加工もできます。
 画像右下の目盛り(50μm)を見てもらえれば分かるように、とても小さいです。

 画像1は、厚さ0.05mmのポリイミドフィルムに、試し加工したものです。
 これは洗浄していませんが、もし洗浄できれば、もっと見た目が美しくなったかも?
 逆に言えば、加工による焦げ等は、ほとんど無いとも言えるかもしれません。
 大きさは、楕円の長軸(楕円形の横方向の長さ)が約0.6mmです。
 中央の円形は直径0.16mm程度です。
 両側の2つの円形は直径0.07mm程度です。
 
 ちなみに、画像1の形状は、もっと大きな面積のフィルムから切り出したものです。
 画像2は、切り出された側、所謂「抜け殻」フィルムを撮影しやすいように、適当に切り出したものです。
 画像1は、楕円形1個ですが、実際には、90個加工したうちの1個だったということです。

ついでに、違う形状も、加工してみました(画像3)。

 音叉形? 馬蹄形?
 カーブしているところは半径0.05mm程度、線幅は0.04mm程度です。
 この大きさになると、指でも、ピンセットでも持てません。
 取り扱い注意です。乱暴に扱うと折れてしまうので。
 このポリイミドフィルムは試し加工として使用した材料なので、汚れが目立ちますね…。 
 ちなみに、この形(画像3)を切り取られた側のフィルムは画像4のような状態です。

【応用】フィゾー干渉計

レーザーを応用した干渉計の一つにフィゾー干渉計(Fizeau interferometer)があります。これは発散光をうまく用いて大面積を一度に正確に測定できる優れた干渉計です。

基本的な原理は、下図のように、光源からの発散光を用います。発散光はコリメータレンズで平行光に変換され一部の光を通す参照面に進みます。一部の光は参照面で反射します(緑線)。この参照平面は、オプティカルフラットとも呼ばれ基準となるため非常に高い平面度を持っています。他方は参照面を透過して被測定物へ進み、そこで反射します(赤線)。両方の光は重なり合い、コリメータレンズで集光されます。集光された光はビームスプリッターで45度方向を変えられ、検出器に進みます。この重なり合った光は、参照面と被測定物面との光路差で干渉し、強め合ったり(明線)、打ち消しあったり(暗線)します。この違いを検出器で検出することで、参照面と被測定物の形状誤差を測定することができます。

ビームスプリッターや検出器の位置が異なるなど、多少の構成の違いはありますが、基本的な原理は、この図で説明できます。また、ここでは、平面を測定する例を示しましたが、コリメータレンズ後に再度光を集光させ(キャッツアイ)そこに参照面を置くことで球面の測定も可能となります。

光源としては、He-Neレーザーなどが用いられます。参照面は数十nmという非常に高い精度で加工されています。検出器としては、CCD素子などが用いられ、専用ソフトウエアと組み合わせることで簡易な測定を実現しています。また、干渉縞を走査してより高い精度で測定を行う「フリンジスキャン」という技術もあります。測定できる面積(口径)は、測定機により、φ数十~数百mmとなっています。

このようにフィゾー干渉計は、構造が簡単でありながら、光学平面や球面を非常に高精度に測定できます。また、面を一括して測定できるために、安定した測定が行え、測定時間の短縮にもなります。これらの特長のために、多く使用されています。

【応用】マッハ・ツェンダー干渉計

マッハ・ツェンダー干渉計(Mach–Zehnder interferometer)は、1つの光源からの光を2つに分け、その光路差(位相差)を干渉によって検出する干渉計の一種です。通常は、一方の光路中にサンプルを置き、その影響によって生じる位相差を検出します。

図のように、1つの光源からの光がビームスプリッター(BS1)によって2つに分けられます。それぞれの光はミラーによって光路を変えられ、再度ビームスプリッター(BS2)によって結合されます。結合された光は、干渉し干渉縞を形成して、検出器1もしくは2にて検出されます。

ここで、2つに分けられた光の光路差が波長λの整数倍nと等しければ、光は強め合い検出器で検出される干渉縞は明るくなります。反対に、光路差が波長の整数倍からずれると徐々に光は弱めあうことになりn+1/2倍の時に最少となり干渉縞は暗くなります。

実際には、物理的に光路長を変えるのではなく、光路中にサンプルを挿入するとそのサンプルの屈折率の差から光路差(位相差)が生じて、検出器にて干渉縞が観察されることになります。

この干渉計を構成する光源は、Ne-Neレーザー、半導体レーザー(UV~IR)などが多いようです。有効鏡径は、φ数mm~数百mmまでのものもあるようです。検出器としては、CCDカメラ、デジタルカメラ、光速度カメラなど、使用用途によって選択されます。

この干渉計は、光が到達しさえすれば、検出できるため、比較的大きな空間での利用が可能です。そのため、光学部品の精度測定、流体力学での流れの可視化やプラズマ工学や伝熱学など、気体の圧力、温度勾配の測定にも用いられます。また、最近では、量子もつれや量子暗号などでも使われるようです。

この他の干渉計にマイケルソン干渉計がありますが、光の反射を伴うマイケルソン干渉計と異なり、マッハツェンダー干渉計はシングルパスの干渉計です。

【応用】すばる望遠鏡

すばる望遠鏡は、日本が1999年に製作したハワイ島マウナケア山頂(4,200m)に設置されている巨大な反射望遠鏡です。自然科学研究機構国立天文台が運営しています。

望遠鏡の反射鏡は、大きいほうが光を集める能力が高くなりますので、観測には有利です。

主鏡の口径は8.2mmで一枚鏡としては世界最大です。望遠鏡に使用される反射鏡は1950年代から大型化が始まり、主流だった3mから徐々に大きくなってきました。世界一大きな天体望遠鏡の口径は、2007年にできたアメリカ・アリゾナ州にあるグラハム山国際天文台の11.9mですが、これは2枚の鏡からできているため、一枚鏡の望遠鏡で最大のものは、日本のすばる望遠鏡となります。

この主鏡は、超低熱膨張ガラスで作られており、厚さが20cm、重さ22.8トンもあります。表面の平均誤差が0.014マイクロメートルととてつもなく高精度にできています。

地球上から観測するためには、空気が澄んでいて、空が暗く、天候の良い日が多いことが望まれます。日本国内では候補地がなかったため、ハワイ島のマウナケア山頂が選定されました。標高4,200mの山頂の気圧は平地の2/3で、晴天が多く乾燥しているそうです。また、貿易風により雲がかかることがあまりありません。さらに、周囲に都市がないため暗く観測には最適の条件と言えます。この設置のための準備期間は20年にも及んだそうです。このような好条件のため、マウナケアには 11 ヶ国13 の望遠鏡を運営しています。

観測の成果は、ホームページのギャラリーで公開されており、どの画像も息をのむ美しさです。また、科学的にも多くの成果を上げており、今後のさらなる成果に期待できます。

【応用】ハッブル宇宙望遠鏡

ハッブル宇宙望遠鏡は、グレートオブザバトリー計画の一環として、1990年にアメリカのNASAのスペースシャトルによって宇宙空間に打ち上げられた宇宙望遠鏡です。名称は、宇宙の膨張を発見した天文学者Edwin Powell Hubbleにちなむものです。本体は円筒形状をしており、長さ13.1m、重さ11トンあります。主鏡の直径2.4mの反射望遠鏡を内蔵しており、いわゆる宇宙の天文台のようなものです。メンテナンスが必要な場合には、宇宙飛行士がスペースシャトルで乗り込み、光軸の調整や観測装置の修理、追加のカメラや分光器の取り付けなどを行ってきました。

ハッブル宇宙望遠鏡の軌道は地上約600kmにあり、大気の揺らぎがないため宇宙の微細な構造を観測することができます。大気に邪魔されないため、遠くの星を高分解能で観測できます。

稼働開始以来、多くの実績を残してきました。銀河系を取り巻くダークマターの存在を明らかにしたり、宇宙の膨張が加速しているという証拠を観測したり、ブラックホールの存在を示したりと、これまで地上からの観測では得られなかった知見を得てきました。

科学雑誌に投稿された論文は21年間で10,000件を超えることからも、成果の大きさが分かります。成果の一つとして、得られたイメージがNASAのホームページで公開されています。これらのイメージからも非常に鮮明な画像が得られていることが分かります。

ハッブル宇宙望遠鏡は、打ち上げからかなりの年月が経っています。次の宇宙望遠鏡の計画もあるようです。2021年には、その後継機としてより高性能なジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 の打ち上げが計画されているようです。

”光”の観測により、我々人類はさらに多くの発見を得ることができそうです。

【応用】レーザードップラー血流計

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レーザーのドップラー効果は、物体の速度を測定するためのも用いられます。

この技術を血流の速度を測定するために応用したレーザードップラー血流計があります。皮膚表面の血流を測定する装置と血管内の血流を測定する装置とがあります。どちらの装置も光ファイバーをプローブとして血流の赤血球の移動を測定します。レーザーをビームスプリッターにより2つに分け、その一方をプローブ光として赤血球に照射しその反射を検出します。その光と参照光との干渉により発生するビート信号の周波数fdを検出します。血流速\(v\)は、

$$v=\frac{f_d c}{2 f_0 cos \theta}$$

と表されます。ここで、cは光速、f0はレーザーの周波数、Θはレーザーと血流のなす角度です。

得られた信号を基にスペクトルアナライザで解析します。速度が変化するとドップラー成分がシフトするため、相対的な速度変化を知ることができます。

測定できる速度の範囲は、秒速数十μm~数cm程度です。

皮膚表面の血流速を測定するには、皮膚表面にプローブである光ファイバーを固定して測定を行います。光源にはHe-Neレーザーなどが利用され、光侵襲深さの皮膚から2~3mm程度の深さの血流を測定します。

血管内部の流速を測定するときは、光ファイバーを血管の中に挿入して測定を行います。

血流速計は主に研究分野で使用されており、酸素濃度が血流速に与える影響や、毛細血管内の血漿の分布により赤血球の速度分布に与える影響などが研究されています。