【応用】レーザー曲げ加工

レーザーは物体に称されると熱源として働くことができます。一般に物体が加熱されると、熱による応力が発生してひずみます。この現象をうまく利用すると曲げ加工を実施することができます。このような加工方法はレーザーを応用した塑性加工の一種で、レーザー曲げ加工(レーザーフォーミング)と呼ばれます。

この技術は特に金属材料へ適用されます。金属へ溶融が起きない程度の温度となるようにレーザーを照射します。この時、レーザー照射位置は高温となるため、金属材料が膨張します。照射をやめると冷却され、反対に収縮します。

この原理を上手く応用すると、ひずみの応力で材料を曲げることができます。実際には、材料に対してレーザー照射位置を走査することで、直線状の応力ひずみが発生し材料が直線で曲げられます。レーザーを照射する直線を平行に少しずつずらすことで材料をカールさせることもできます。さらに、円状にレーザーを走査することで円錐形状を実現したり、自由曲線による局面形状にもできます。

レーザーフォーミングは、金型が不要な加工方法であるため、多品種少量生産にも適しています。また、過度な応力を加えないため、材料を破損させることもないようです。

使用されるレーザーは、CO2レーザーやファイバーレーザーです。平均出力が数十W程度のレーザーが用いられます。材料やレーザーの条件によりますが、加熱部は数百度(<千度)となります。熱によるひずみを利用した加工のため、レーザーを照射する材料表面と裏面で温度差をつけるような加工条件に設定する必要があります。加工条件んを最適化することで、折り曲げ角度の制御ができます。

【基本】カー効果

光の偏光に関する現象にカー効果(Kerr effect)というのがあります。1875年にスコットランドの物理学者ジョン・カーが発見しました。このカー効果には、電気光学的カー効果と磁気光学的カー効果があります。

電気光学的カー効果は、ある物質に電場が印加されたとき、物質の屈折率が電場の2乗に比例して変化(複屈折)する現象です。

ちなみに、電場に比例する一次の電気光学効果は、ポッケルス効果です。

応用例としては、短パルス、超短パルスレーザーのシャッターとして使われます。結晶の両端に偏光板を置き、偏光方向が垂直の場合、不透明となります。しかし、結晶に電圧をかけて偏光方向を変化させることで透明となり光が透過します。物理的な可動部がないため、高速なスイッチングができます。カー・セルとして利用されています。

電気光学的カー効果の方が有名ですが、磁気光学的なカー効果(Magneto-optical Kerr effect)もあります。こちらは、反射光に対するファラデー効果ということができます。

磁気光学的カー効果には、3種類あります。

・極カー効果:磁化が反射面の法線方向。直線偏光ー>傾いた楕円変更
・縦カー効果:磁化が試料面内かつ入射面内。直線偏光ー>傾いた楕円変更
・横カー効果:磁化が試料面内。磁化による強度変化

カー回転角は、反射する物質や温度等によって変化します。例えば、
Fe 0.87 deg
Ni 0.17 deg
CrBr3 3.5 deg
などです。

この応用は、MOディスクです。CDのような円盤に磁気光学効果でビットを形成、読み取り、消去することで、デジタルデータの書き込み、読み込み、消去を行える記録媒体です。

【基本】ポッケルスセル

ポッケルスセルは、光の偏光方向を電気的に変更できるEO(Electro-optic)デバイスです。電圧で制御する波長版とも言えます。また、印加する電圧を変化させると、位相遅れを発せさせることができます。

このデバイスはポッケルス効果と呼ばれる現象を利用しています。物質に電圧が加わったときに物質内部の分極率が変化し、屈折率が変わります。屈折率は電圧に比例します。似たような現象にカー効果がありますが、こちらは電解の2乗に比例して屈折率が変わる現象です。また、ポッケルス効果は、圧電性のある物質にしか作用しません。このポッケルス効果とは、ドイツの物理学者であるフリードリッヒ・ポッケルスに由来します。

物質の素材は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)やリン酸二重水素化カリウム(KD*P)、BBO 、CdTe などがあります。

使用できる波長も紫外から遠赤外まで幅広く、各波長で適切なARコートがされているものもあります。

駆動電圧は、数kV以下程度が多く、MHzレベルの高周波で駆動できるデバイスもあります。立ち上がり時間もns以下と短く、高速な動作が要求される応用にも利用可能です。

光を入れる口径もφ数mm程度のデバイスが多く、扱いやすくなっています。

応用例としては、DPSSレーザー用Qスイッチ、レーザーの再生増幅制御、ビームチョッパー(アイソレーター)などがあげられます。

ガラスに微細な金属ラインをレーザーで成膜~装飾・アクセサリーなどへの応用とか?~

 透明なガラス基板に描くこと(成膜すること)微細な金属の線をレーザーを使って成膜し、
 下の動画1のように、市松模様の反射デザインをガラス面に形成することができます。
 尚、サンプルの作成は室温、大気雰囲気で実施しています。

 動画1での、市松模様デザインのサンプルは、左側の薄く見える四角形の部分です。
 1辺20mmの四角形の中に、1辺5mmの四角形16個で構成されています。
 そして、それらが、幅0.07mmの銅の膜の配列で構成されています。
 (実際のパターンは、画像1の観察画像参照)

 注意)動画には、ノイズ音として、加工装置などの音が少し入っています。
    消音かボリューム小さめでご覧ください。

動画1:ガラス基板にCuの微細ラインで市松模様を成膜

 DXFファイルなどから、パターンを入力すれば文字や絵(曲線)を描くことができます。
 レーザーでの成膜ですので、パターンマスクは不要、マスクレスでの成膜です。
 描ける範囲(面積)の制限はあります。
 
 一般に、印刷などでも、金属光沢を出すことができます。
 ただ、この方法では、実際の金属材料での反射という点も特徴の一つです。

 紹介した動画は、銅(Cu)でガラス基板(一般的なスライドガラス)上に成膜されています。
 ほかに、成膜材料としては、ステンレスでも同じ様に描画できます。
 成膜基板は、透明なアクリル板でも構いません。

 実際の見た目は、光のあたる角度で反射の様子が変わります。
 また、成膜材料の違いでも、反射の色合い自体も変化します。
 そのため、デザイン次第で、装飾品・アクセサリーなどにも利用できそうです。

 画像1は、動画1で示したパターンの一部分の観察画像です。
 幅70μmの銅のライン成膜と空白の幅が周期的にレーザーで成膜されています。
 もちろん、パターンの方向や間隔、直線or曲線などは自由に変えることができます。

【応用】次世代超大型望遠鏡(TMT)

次世代超大型望遠鏡(Thirty Meter Telescope: TMT)は、国立天文台が日本、米国、カナダ、中国、インドによる国際協力により進める大型望遠鏡建設計画です。既存の8m級の望遠鏡による研究をより大きく発展させることができると期待されます。2022年の本格運用を目指してプロジェクトが進められています。

このプロジェクトでは、プロジェクト名になっているように、口径30mの主鏡をもつ超大型の望遠鏡を建設します。これにより、従来の8m望遠鏡とくらべると解像力は約4倍(補償光学技術を含む)になり、集光能力は10倍以上となります。

この主鏡は、ガラスセラミックス製で、対角が1.44mの六角形をした鏡を492枚組み合わせることで実現されます。わずかに形状の異なる82種類の非球面鏡を6枚ずつ使用して主鏡を構成します。精度のよい観測をするため、鏡の表面粗さは2nmと非常に小さくなっています。

大気のゆらぎによる観測誤差を低減するため、赤外線による観測を行い、さらに、補償光学技術が用いられます。これにより宇宙から観測する宇宙望遠鏡以上の解像度を実現します。

この望遠鏡は、すばる望遠鏡と同じく、ハワイ島のマウナケア山頂に設置されます。標高4,200mの高地は世界中でもっとも天体観測に適している場所と言われています。既存のすばる望遠鏡との連携による新たな発見も期待されます。

この望遠鏡が完成すると太陽系外惑星をより詳しく知ることができ、生命が存在する新たな惑星の発見ができるかもしれません。また、宇宙の起源を解き明かす発見があるかもしれません。

こちらのサイトには、望遠鏡のギャラリーがあります。

透明アクリル板に金属(銅)をレーザーで成膜してみた。

 市販の透明アクリル板に銅を成膜して、文字とQRコードを描いてみました(画像1)。
 大気圧雰囲気、基板無加熱でマスクレス成膜です。

 成膜後に、水道水+界面活性剤で、指で擦りながら洗浄しました。
 その後に、ティッシュペーパーで拭き上げ処理をしても膜剥離しませんでした。
 ちなみに、画像2も同様の後処理をしています。
 また、簡易的なテープ剥離テストでも、膜剥離はありませんでした。

 今回の例では、文字を形成する細線の幅は約0.1mmです。
 
 光沢感を強調する為に、掲載画像では、サンプルに白色照明をあてています。
 画像1では、2パターンの色合いを示しています様に、ある程度の色合いの制御も可能です。

 画像2でも、アクリル板に銅を成膜した例を示しています。
 こちらは、手でサンプルのアクリル板を持ち、指で曲げています。
 繰り返し曲げる動作をしても、膜が剥離することはありませんでした。


 これらの成膜には、パルスレーザーを使用しています。
 但し、所謂、パルスレーザーデポジション(PLD)ではありません。
 この成膜方法は、PLDとは異なる考え方に基づいた成膜方法であり、現在、開発を進めています。
 
 今のところ、成膜可能な基板は透明ガラス、透明アクリル板ですが、その他の基板材料も検討中です。
 また、成膜可能な材料は、金属ならば対応可能と思われます。

 加飾、アクセサリー、ロゴ、コード(QR,JAN,etc)などへの利用可能性があると思われます。