【基本】レンズの収差

収差の概要

光学機器で用いるレンズの最大の敵は収差です。

レンズは、集光・結像のために用いる部品ですが、この機能の前提として「物体の1点からでたあらゆる光線はレンズを投下した後、像面の1点に集まる」という性質があります。つまり、以下の3点を満たすことを前提としています。

1.点光源は、点に集光する。
2.平面の物体は、平面の像を作る。
3.平面上の形状は、相似形として結像する。

しかし、実際のレンズを考えてみますと、このように理想的にはなりません。多くの場合は製造上の都合から球面レンズであり必ずしもこの基本性質を満足はしていません。また、レンズ材料そのものの非一様性や加工誤差などで理想的なレンズを形成することは事実上不可能です。

実際には、光が一点に集光しなかったり、像面位置によって結像場所が変化したり、色がにじんだり、像がぼやけたりと様々な誤差を生じます。これらの現象を総称して収差(aberration)と言います。

収差は、大きく「単色収差」と「色収差」に分けられます。単色収差は、レーザーなど単一波長の光を考慮したときに発生する収差で、色収差は複数波長が重なった光を扱った時に発生する収差のことです。

これらの収差は、さらに以下の通りに分類されます。

単色収差

  • 球面収差:光軸上で光が一点に集光しない
  • コマ収差:光軸外で、集光点で光が尾を引いたようになる
  • 非点収差:同心円像と放射線像の結像が一致しない
  • 像面湾曲:湾曲した像面となる
  • 歪曲:物体と像が相似とならない

色収差

  • 軸上色収差:色によって結像位置が異なる
  • 倍率色収差:色によって倍率が異なる

光学系の設計では、この収差を以下に抑えるかが重要となっています。光学機器メーカーは、専用の光学設計ソフトウエア等を駆使してこれらの収差を抑えるような設計をします。光を扱う機器全般の問題ですから、産業機器にみならず、カメラや光学プリンタ、ビームポインタなど民生品へも大きな影響を及ぼします。

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