【基本】X線レーザー

X線レーザーは、原子の内殻電子の遷移を利用してX線領域の電磁波を出すレーザーです。

代表的な反転分布発生機構として、レーザー照射時の加熱相で反転分布の生じる電子衝突励起があります。強力な短パルス光で高エネルギーを原子に与え原子の束縛電子を強電離イオン状態を作ります。例えば、強力な電離によりC5+のように束縛電子が1個だけ残ったイオンを水素(H)様イオン、電子が2個残ったイオンをヘリウム(He)様イオンなどと呼びます。このような束縛電子が励起電離状態遷移によってレーザーを発振します。

最初にレーザー利得が報告されたのは波長20.6nmのネオン様セレンレーザーです。原子番号34のSe原子から24個の電子をとったSe24+のイオンが用いられました。

X線レーザーの発振に必要な励起強度は、レーザー波長の4乗に逆比例するため、短波長では特に高いエネルギーが必要となります。また、レーザー上準位の寿命は波長の3乗に比例して短くなるので、ファムと秒程度の短パルス励起が必要です。このように、X線レーザーは、発振条件がかなり厳しいです。

発振が確認されたX線レーザーは、25イオン種(波長3.6~28.6nm)で50以上あるようです。これまでの最短波長は、3nmです。X線レーザーの輝度は1026にもなり、超大型シンクロトロン放射光装置のアンジュレーターラインで放射されるX線の輝度に比べ6〜7桁も高くなっているようです。

報告されている最大レーザーエネルギーは、波長15.5nmのネオン様イットリウムレーザーで、7mJのようです。この時のパワーは、10MWに達したとされています。

X線レーザーは、水による吸収の少ない波長領域の光を扱えるため、生きたままの生物の観察や、生体高分子の解析など、医学・ライフサイエンス分野での大きな貢献が期待されています。

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