【応用】レーザーの医学応用(4)

レーザーを医学の分野への応用としては、治療の他に計測・診断があります。レーザーを使うメリットの一つとして、生体情報のin vivo(生きた状態での)計測があげられます。さらに、病気の診断までできることもあり、optical biopsy(光学生検)と呼ばれ、注目されているそうです。biopsy(生検)は、生体組織を一部採取し、顕微鏡などで精密に調査し、病気の診断をすることを言いますが、レーザーを使った計測では、これを非侵襲にて行うことが可能になります。

1. 近赤外分光計測

近赤外光を使うことで、体内のヘモグロビン酸素化の状態を調べることができます。血液が酸素を多く含む動脈血が鮮やかな赤色であるのに対し、酸素が少ない静脈血は少し暗い色をしています。これは、血液に含まれるヘモグロビンが酸素化されている状態と、脱酸素化されている状態で吸収スペクトルが異なるためです。波長600~800nmの光では、酸素化ヘモグロビンの吸収が小さく鮮やかな赤色となり、800nm以上では脱酸素化ヘモグロビンの吸収が小さくなります。この吸収率の違いにより、ヘモグロビンの酸素化状態を知ることができます。

この原理を応用した計測手法がパルスオキシメーター(酸素モニタリング装置)です。この装置は、発光部と受光部を備えており、受光された光の強度で酸素飽和度(SpO2)を計測することができます。指に挟んで簡単に計測できるものが多く、患者への負担も小さいのが特長です。また、同時に脈拍も測ることができる製品もあります。

2. 蛍光分光計測

蛍光物質を特定の位置へ移動させ、レーザーを照射することにより発生する蛍光を検出することで、その位置を特定することができます。この蛍光画像法は、がん組織や動脈硬化部位の特定に使われています。

蛍光物質の一例としてNPe6があります。これを必要量だけ静脈注射し、一定時間後に計測を行います。NPe6は、腫瘍や脂肪組織に集まりやすい性質があり、病変組織中では664nmの光で励起すると670nmにピークがある蛍光を発します。必要なパワー密度は1mW/cm2程度と非常に少なく半導体レーザーで簡単に励起できます。蛍光状態をCCDカメラなどで観察することで、病変部の像を取得することができます。また、内視鏡と組み合わせることで生体内部の状態を観察することもできます。このNPe6は、数時間程度で排出されるため生体への影響もほとんどありません。

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