【応用】レーザーの医学応用(3)

レーザー治療

レーザーの医学応用として、治療や計測がありますが、ここでは、治療についてみてみたいと思います。

レーザーの生体への作用は、以下があげられます。

  • 光熱的作用:光が組織に吸収され熱となることで何らかの作用を行うことです。アブレーションなどがありますが、その他にも、熱的な除去、凝固、破壊などがあります。この作用により切開や穿孔、面的な除去を行います。心筋梗塞の心臓に対して貫通穴を開け血液循環を回復したり、血液凝固により組織の接着、止血などの実績があるようです。
  • 光音響作用:光を照射することで発生する高周波の振動を治療に役立てるものです。一例として、結石治療があります。多くは、水の入ったバスに入りスパーク放電などで衝撃波を発生させ、衝撃波により結石を砕きます。この方法を適用できない症状には、レーザーによる治療が行われることがあります。短パルスレーザーによる急速加熱により結石に膨張が起き衝撃波が発生し、その反作用としてさらに結石が破砕されるというものです。
  • 光化学的作用:光を照射することで、化学的に病変部を壊死させたり、活性化することで回復を早めることを指します。低出力のレーザーでは、痛みの緩和や鍼と同等の作用を発生させる場合もあるようです。

このように、レーザーの特性を有効に活用することで、消火器、呼吸器、循環器、泌尿器、眼科、耳鼻科、皮膚科、歯科等の幅広い領域で実用化されています。

1. 眼科治療

1.1 眼底治療

眼科治療のうち、眼底疾患へのレーザー応用は比較的早くから行われたようでようです。疾患としては、網膜症や眼底出血が対象となり、失明の危険もあるだけに重要な治療方法となっているようです。

眼球にコヒーレントな光が入ると、網膜上に集光されます。光が通過する水晶体等は水が主成分ですので、青や緑色の光が高い透過率を持ちます。このため、光源としては、514.5nmのArイオンレーザーが用いられることが多いようです。また、治療内容によっても変えており、例えば血管系はヘモグロビンへの吸収が良い577nmのレーザー、脈絡膜など深部の治療は波長の長い630nmのレーザーが使われているようです。

このように、レーザーが網膜まで到達して集光するという特性を活かして、剥離した網膜組織を加熱して凝固させたり、止血を行います。

1.2 近視治療

近視は、屈折力の低下により網膜に像が結ばなくなる疾患の一つですが、レーザーを応用した近視治療は、角膜を適切に処置することで屈折率を正常に戻すことを指します。屈折を司るのは角膜の他に水晶体がありますが、角膜は空気と接しているためにその影響が大きいため、直接角膜を処理します。

処置は、大きくPRK法とRK法があります。PRK(PhotoRefractive Keratectomy)法は、角膜表面を2次元的に除去して曲率半径を大きくする方法です。RK(Radial Keratotomy)法は、角膜表面に放射状に切り込みを入れいる方法です。近年は、安全性の高いRK法が主流のようです。

レーザー光源は、高品質な加工ができるエキシマレーザー(193nm,ArF)が用いられることが多いです。しかし、近年ではピコ秒レーザーのような超短パルスレーザーも使われるようになってきているようです。

2. 皮膚科治療

皮膚科治療のレーザー応用で多いものが「あざ治療」です。あざは、正常組織中に病変組織ができることで発生します。従来は、外科的に切除したり、ドライアイスなど極低温で凍結壊死させる方法がとられてきました。レーザーでは、選択的に処置を行え、正常組織に損傷を与えないというメリットがあります。

病変部を選択的に処置するために、吸収係数が大きい波長のレーザーを用います。418, 542, 577nmに吸収ピークを持つヘモグロビンを考慮し、さらに、到達深度や組織の熱緩和時間を考慮して処置に使用するレーザーが選択されます。例えば、パルス幅が数ns~100nsのルビーレーザー(694nm)、アレキサンドライトレーザー(755nm)、Nd:YAGレーザー(1064nm)が用いられるようです。

このようにハードウエアだけではなく、レーザーの照射時間やパルス幅、パワーの設定などパラメータの設定も重要です。例えば、血管壁へ熱変性を与える場合は、血液中のヘモグロビンへのみ影響を与えるのではなく。血管壁にきちんと影響を与える必要があります。医療応用であっても、パラメータの精密な制御は非常に重要となってきます。

3. 光化学的治療

光感受性の物質を補助剤のように用いて、がんの治療が行われています。生体内の腫瘍に残りやすい性質がある光感受性物質を静脈注射し、その吸収波長のレーザーを病変部に照射することで、がん細胞を選択的に破壊する方法があり、光線力学的治療(PhotoDynamic Therapy)と呼ばれています。

使用する光感受性物質によりますが、UVレーザー(410nm、Kr)が用いられます。また、より深く作用を到達させるために波長の長い色素レーザー(630nm)が用いられることもあります。

ここで見てきた例は多くはありませんが、医療の分野でもレーザーが広く活躍しています。

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