【応用】重力波の検出

以前、レーザーを利用した検出器としてマイケルソン干渉計を紹介しました。

今回は、この干渉計の利用例として重力波の検出を紹介します。重力波とは、重力の影響が波動として伝搬するという現象で、アインシュタインの一般相対性理論によって予言されました。一般相対性理論では、重力の相互作用を時空間の曲がりとして表現します。すると、重力波は時空間のゆがみが伝搬する効果となって現れます。つまり、重力波があると時空間がわずかに変化することになります。この歪みを検出する装置が重力波検出器です。

この重力波を検出するために、かつては様々な実験が行われました。1960年代には、ウェーバーが大きな機械的な振動子を共鳴振動させ、先端に付けた振動センサの出力変化で検出しようと試みました(実験は成功と発表されましたが、再現できていないようです)。また、宇宙空間にある人工衛星の位置を精密に追跡して重力波による位置のずれから重力波そのものを求めるようとした例(ドップラートラッキング)もあります。さらに、天体からの信号パルサーが重力波で揺らぐとの予測から重力波を求める試みもあります。

様々な試みがなされてきましたが、現在、最も高感度で検出できる装置はマイケルソンレーザー干渉計を利用したレーザー干渉計型検出器と言われています。

基本的な原理は、マイケルソンレーザー干渉計ですが、レーザーを反射する2つの鏡が水平面内で光軸方向へ自由に動くことができるようになっています(自由質量型検出器)。重力波によって2つの光路長に差が生じると検出器によって変位として検出されます。

ある検出器の腕の長さ(レーザーを飛ばす長さ)をLとして、振幅hの重力波によって、検出器のターゲットの位置が\(\)\delta L[/]atex]だけ変化したとすると

$$ h \sim \frac{\delta L}{L} $$

という関係になります。地球上でこの検出器を設置した場合、実用的なレーザー長は3~4km程度です。重力波の振幅hは、10-21~10-22程度と考えられており、干渉計の鏡の変位は水素原子の大きさの10-8程度の変位を検出する必要があることになります。この微小変位を検出するために、様々な工夫がなされています。

一つの例は、レーザーを折り返し何度も鏡に反射させることで光路長を稼ぎ、感度向上させています。また、光による雑音の一種であるショット雑音を低減させるためになるべく大きな出力のレーザーを使います。鏡への外乱を遮断するために除振装置や真空装置を駆使して安定化させています。

このような重力波検出の研究は世界で行われています。米国のLIGO,イタリアとフランスのVIRGO、英国とドイツのGEO600、日本のTAMAなど、世界でその成果を競っています。

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