【基本】光の反射

光の材料への影響を考えるとき、反射率をR、吸収率をA、透過率をTとすると、
 R+A+T=1
の関係が成り立ちます。これらの現象は、レーザー加工にとって重要な意味を持ちます。

レーザーが材料に何かしらの影響を与えるには、吸収が一番重要です。レーザーのエネルギーが吸収され、熱もしくは化学的な反応となって材料を除去します。もしくは、光造形法ですと材料を固化して形状を創生します。したがって、レーザーのエネルギーをうまく吸収させることによって効率よく加工ができます。

例えば、金属加工を考えた場合、透過率Tは0に近いですから、吸収率Aを大きくするには反射率Rを小さくすれば良いことがわかります。この、反射率Rを詳しく見ていきます。

反射率Rは、その定義から次の式で表されます。

\begin{gather}
R = \frac{I_R}{I_0}
\end{gather}

屈折率がそれぞれn1, n2の媒質1から媒質2へ光が入射する時、入射光の角度θiと透過光の角度θtを用いて、反射率Rは次式で表されます。

\begin{gather}
R = \frac{ n_1 \cos \theta_i – n_2 \cos \theta_t }{n_1 \cos \theta_i + n_2 \cos \theta_t}
\end{gather}

垂直に光が入射する場合、比屈折率をn=n1/n2とした場合、この反射率Rは、

\begin{gather}
R = \frac{ (n-1)^2}{(n+1)^2}
\end{gather}

となります。ここで、複素数を用いた屈折率を考えます。屈折率nとダンピングファクターk(波数ではありません)を用いると、反射率Rは次のようになります。

\begin{gather}
\hat{n} = n – ik
\end{gather}
\begin{gather}
R = | \frac{ \hat{n}-1}{\hat{n}+1} |^2 = \frac{(n-1)^2 + k^2}{(n+1)^2 + k^2} = \frac{n^2 + k^2 + 1 -2n}{n^2 + k^2 + 1 +2n}
\end{gather}

ここで、n,kの関係を求めるために、波動方程式を考えます。

光の性質の項では、Maxwell方程式を用い、光の性質を確認しました。ここでは、磁場Hの変化を次のように表しました。

\begin{gather}
\nabla \times \mathbf{H} =\frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t}
\end{gather}

しかし、電流は真の電流の他に電束密度の時間変化に伴う変位電流が存在することを考慮すると、次の関係が成り立ちます(Amp`ere-Maxwellの法則)。

\begin{gather}
\nabla \times \mathbf{H} = j + \frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t}
\end{gather}

この関係を用いて、波動方程式を再度計算すると次のようになります。

\begin{gather}
c^2 \nabla^2 \mathbf{E} = \frac{\sigma}{\epsilon_0} \frac{\partial \mathbf{E}}{\partial t} + \epsilon \frac{ \partial ^2 \mathbf{E}}{\partial t^2}
\end{gather}

x成分のみを考えると次の通りとなります。

\begin{gather}
c^2 \frac{\partial^2 E_x}{\partial z^2} = \frac{\sigma}{\epsilon_0} \frac{\partial E_x}{\partial t} + \epsilon \frac{ \partial ^2 E_x}{\partial t^2}
\end{gather}

この解を次のように置きます。

\begin{gather}
E_x = E_0 exp[i \omega (t – \frac{zn}{c})]
\end{gather}

すると、以下の関係が求まります。

\begin{gather}
n^2 = \epsilon – \frac{\sigma}{\epsilon_0 \omega} i = \epsilon – \frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu} i
\end{gather}

ここで、nを複素数で\(\hat{n}\)とすると、

\begin{gather}
\hat{n}^2 = n^2 – k^2 – 2 n k i = \epsilon -\frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu} i \equiv \epsilon_1 – i \epsilon_2
\end{gather}

ですので、Maxwell relation(\(\sigma \approx 0, \epsilon \approx n^2\))から、次の関係が求まります。

\begin{gather}
\epsilon = n^2 – k^2
\end{gather}
\begin{gather}
\sigma = 4 \pi \epsilon_0 n k \nu
\end{gather}
\begin{gather}
\epsilon_1 = n^2 – k^2
\end{gather}
\begin{gather}
\epsilon_2 = 2 n k = \frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu}
\end{gather}

これらの関係と、周波数が小さい領域\(\nu < 10^{13} Hz\)では、\(\sigma / 2 \pi \epsilon_0\)が極めて大きいことを考慮すると、次式が求まります。

\begin{gather}
n^2 = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2 + (\frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu})^2} + \epsilon \right) = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2_1 + \epsilon^2_2} + \epsilon_1 \right) \approx \frac{\epsilon_2}{2}
\end{gather}
\begin{gather}
k^2 = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2 + (\frac{\sigma}{2 \pi \epsilon_0 \nu})^2} – \epsilon \right) = \frac{1}{2} \left( \sqrt{ \epsilon^2_1 + \epsilon^2_2} – \epsilon_1 \right) \approx \frac{\epsilon_2}{2}
\end{gather}
\begin{gather}
n^2 \approx k^2 \approx \frac{\epsilon_2}{2} \approx \frac{\sigma}{4 \pi \epsilon_0 \nu}
\end{gather}

反射率Rの関係に戻り、上記の関係を用いると、反射率Rに関して次式が求まります。

\begin{gather}
R = | \frac{ \hat{n}-1}{\hat{n}+1} |^2 = \frac{(n-1)^2 + k^2}{(n+1)^2 + k^2} = \frac{n^2 + k^2 + 1 -2n}{n^2 + k^2 + 1 +2n}
\end{gather}
\begin{gather}
\approx 1 – \frac{4 n}{2n^2 + 2n + 1} \approx 1 – \frac{2}{n} = 1 – 2 \sqrt{ \frac{4 \pi \epsilon_0 \nu}{\sigma}} = 1 – 4 \sqrt{\frac{\nu}{\sigma} \pi \epsilon_0}
\end{gather}

この関係式は、Hagen-Rubensの公式と呼ばれ、反射率Rと材料特性の関係を示しています。主に金属は波長が長いほど反射率は高くなります。また、電気伝導度が大きいほど反射が大きくなることが分かります。

例えば、銅はレーザーで切りにくい。という話を聞いたことがあるかもしれません。これは、上記の関係があるためだと考えられます。

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