【応用】レンズ付きフィルム

1980年代に、「レンズ付きフィルム」が大流行しました。フィルムを内蔵した簡易なカメラで、撮影後に写真屋へカメラごと持ち込み、カメラは回収され、現像した写真をもらうというシステムでした。回収されたカメラはリサイクルされていました。

一般にカメラレンズは、収差を取り除くために非常に複雑に設計された構造です。一方でレンズ付きフィルムは、全く異なる発想で開発されました。
元々は、高感度で適正露出域の広い高性能フィルムの応用先を探す過程で開発されたカメラらしいです。

筐体や内部構造はほとんどがプラスチックで作られ、カメラの命であるレンズもプラスチックレンズ1枚です。きわめて簡易な固定焦点式でシャッタースピードも固定です。絞りもあらかじめ固定されており(F11~F16)、パンフォーカスによりピント調整を省く構造です。レンズはプラスチックレンズ1枚と言えども、非球面レンズであり収差を減らし、フィルムの方をカーブさせて像面湾曲を低減させる工夫がなされています。

フィルムは全て引き出された状態で本体にあらかじめ格納されており、ユーザーが交換や巻き戻しすることはできません。撮影1回ごとにダイヤルで巻き上げる構造によって、構造の簡易化とフィルム保護を実現しています。

この時代に、小型軽量のカメラで簡単に写真撮影ができるということで、「使い捨てカメラ」と呼ばれるぐらい身近なものとなりました(しかし、メーカー側はこの呼称は使用していません)。実は、構造があまりにも簡易すぎるために、開発会議においても「本当に写真が撮影できるのか?」と指摘されたというエピソードもあります。

1980年代に流行したレンズ付きフィルムですが、デジタルカメラの登場で下火となります。しかし、2000年代になると、自撮やインスタントカメラの影響でこのような簡易的なカメラに再び注目が集まっているという話もあります。

このように、高感度フィルムと新しい発想のレンズにより、全く新しいカメラシステムができたわけです。

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