なぜ、超短パルスレーザーが材料の微細加工に適しているの?

端的に言えば、パルスレーザーとは【一瞬だけ光るレーザー光】です。
そして、なぜ微細加工に適しているかといえば、極わずかな量ずつ材料を加工することができるからです。

 一瞬という時間を具体的に表すと、1ピコ秒間や、1フェムト秒間という時間の長さです。日本語で書くと、ピコ秒が1兆分の1秒、フェムト秒が千兆分の1秒です。日常の感覚では、まったく実感が湧かないですよね。

 そこで、この時間の短さについて、ご説明します。

 光がものすごい速さで進んでいくことはご存知の方が多いと思います。光の速度は、秒速で約30万kmです。これは、1秒間で地球を約7週半する速度です。

 1秒という時間も短い時間ですね。ただ、1ピコ秒の間に光が進める距離は約0.3mmです。これは、微生物の仲間(ミカズキモ、ハネウデワムシなど)の体長と同じ程度の長さです。

 同様に、1フェムト秒間に光が進む距離は、ウイルスの大きさより大きく、細菌の大きさよりも小さい0.3μm程度。要するに、肉眼では分からないくらいの短い距離しか進めません。

 光でさえも、この程度の距離しか進むことのできない程の時間がピコ秒、フェムト秒という時間の長さです。

 ここで、話がちょっとややこしくなります。
 ここまでに、光がある時間内に進める“距離”のお話しをしてきました。しかし、レーザー微細加工の説明をする上で、もう一つ、大事な点があります。それは、“パルス幅”です。

 これについても、ざっくりと書いてみます。
 まず、用語「パルス」について。物理的な意味でのパルスは、短時間に急峻な変化をする信号や、振動現象などのことを指します。

 次に、パルス幅とは、要は時間の長さのこです。
 もう少し詳しく書くと、パルスの立ち上がり時に最大値の50%に到達した時刻から、立下り時に50%にまで減少する時刻の間で、半値全幅(FWHM)とも言います。

 分かりやすさの為に、敢えて山登りのイメージに当てはめて、パルスのイメージを説明してみます。ある人が、山のこちら側から登って、山の向こう側まで下りるまでの時間がパルス幅、というイメージです。

 登山のイメージと対比させながら、更に説明してみると…。( )の中が説明の為のイメージです。

 1パルスの時間(≒山登りから下山するまでの時間)の中で、そのパワー(≒山の高さ)は曲線的に上昇(≒登山)し、ある時間でピーク(≒山頂に到着)を迎え、時間と共に、立ち上がり時と対称的、且つ、曲線的に減少(≒下山)するものが一般的です。

 そして、このように極短時間だけ光る光が、100kHzとか1MHzという時間間隔で繰り返し発光するので、まるで連続して光っているように見えてしまいます。(注意:絶対にレーザー光を肉眼で直視してはいけません。)

 例えば、100kHzならば、1秒間に、100×1000回の発光を繰り返すということです。

 言い換えると、100kHzのピコ秒レーザーならば、10マイクロ秒に1回、ピコ秒(のパルス幅の)レーザー光を出しているということです。
 別の言い方をすれば、1秒間に10万回のピコ秒(パルス幅の)レーザー光を出しているのが100kHzのピコ秒レーザーと言えます。

 そのようなレーザー光を利用して、レーザー微細加工は、1パルスが極短時間のレーザー光を所定の位置に、必要な回数だけプログラムして照射できます。
 更に、これを様々な条件と組み合わせて制御しながら照射するので、極わずかな量の加工を細かく制御しながら加工できるのです。

 ここで、極わずかな量ずつ材料加工する(光と物質の相互作用を起こさせる)には、一定以上の“エネルギー”が必要です。実は、パルス幅が短くなると“ピークパワー”が大きくなります。これについてのお話しは、また改めて。

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