【応用】偏光顕微鏡

光には偏光という性質があります。この性質をうまく利用した顕微鏡が偏光顕微鏡です。偏光は19世紀に方解石を観察して発見されたと言われています。イギリスのニコルが2つの方解石プリズムを貼り合わせたニコルプリズムを発明し、それを用いた偏光装置を考案しました。これにより、自然光から直線偏光を得ることに成功し、鉱物や岩石の研究を進めました。さらに、イギリスのタルボットが偏光顕微鏡を発明したと言われています。

光を第一の偏光装置により得られた直線偏光に対して振動方向が直交するように配置した第二の偏光装置では直線偏光がカットされます。この状態をクロスニコル(もしくは、クロスポーラ、直交ニコル)と呼ばれます。第一の偏光装置をポラライザ、第二の偏光装置をアナライザと呼ばれます。この2つの偏光装置の間に複屈折物質があると、それを透過した直線偏光の光が変化し、アナライザを通して検出されることになります。この原理を応用したものが偏光顕微鏡です。従来は、岩石や鉱物を観察していたので、偏光顕微鏡は岩石顕微鏡、鉱物顕微鏡と呼ばれることもあります。

アメリカのランドは薄板状の偏光板を発明し、ポラロイドと名付け、後にポラロイド社を創業しています。従来の方解石が大きく入手困難で高価であったのですが、ポラロイドは薄く使いやすく安価ということで広く使われるようになりました。

偏光顕微鏡は、一般的な明視野光学顕微鏡の光路に被測定物を挟んで1枚ずつの偏光板を加えたものが最も簡易な構造の顕微鏡です。したがって、外観は光学顕微鏡と変わらないものもあります。

クロスニコル状態のポラライザとアナライザの間に複屈折物質がある場合、常光線と異常光線の屈折率差と物質の厚さにより両光線に位相差(レターデーション)が生じます。この2つの光線はアナライザを透過後に干渉しますが、波長によって干渉の強度が異なるため色付きが生じます。これを干渉色と呼び、レターデーション量と干渉色の関係を示す干渉色チャートというものがあります。

偏光顕微鏡を使用することで
・クロスニコル状態での複屈折の有無の確認
・回転ステージを用いての消光角の確認
・検板を使用しての伸長の正負の確認
・コンペンセータを用いてのレターデーションの測定
を行うことができます。
被測定物の形状に加えて光学特性を測定できることが、偏光顕微鏡の最大の特長です。SEMやTEMでは実現できません。

具体的な用途としては、
・アスベストの定性分析・定量分析
・医療分野では、結晶性関節炎の診断・痛風の診断
・高分子材料開発での形状・光学特性評価
・雪の結晶の分析
・製薬会社での原材料の観察や品質検査
などがあり、多方面で離床されています。

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