【応用】レーザー冷却

レーザーは物質にエネルギーを与え、温度を上昇させるものですが、なんと冷却もできます。レーザー冷却という技術です。

具体的には、レーザー光を利用して原子の運動エネルギーを減少させる、つまり原子の速度が遅くなりますので、原子の温度が下がるということです。ただし、代表的な冷却冷媒である液体ヘリウムと異なり、気体のまま絶対零度近くまで冷やすことができます。実際は、10nKまで到達しているそうです。これは、原子などが完全に静止する絶対零度(-273.15℃)にかなり近い温度です。

原子や分子は光を吸収すると、エネルギー\(E = h \nu\)を受け取ります。この時、力(光圧)を進行方向に受けることになります。これにより原子や分子の速度が減速されるわけです。

実際には、気体原子を、その原子の吸収波長の中心から少し長い波長の光を当てます。レーザー光の吸収は、レーザーの光子と衝突して光のエネルギーが原子に移ることです。つまり、少し波長の長いレーザー光を原子にぶつけると、原子との正面衝突を繰り返し原子の速度が遅くなります。これがレーザー冷却の原理です。

この技術の応用例の一つに原子やイオンの観察があります。原子やイオンが長時間停止しているので、その内部構造を超精密に観測できるようになりました。

また、原子時計にもこの技術が使われ、精度が現在より2桁以上向上すると期待されています。

さらなる応用としては、量子性の研究(ボーズ・アインシュタイン凝縮や量子コンピュータ)が進められています。

この技術は、パワーが強く安定して連続発振できるレーザーの出現によってはじめて実用化されました。今後もレーザーの幅広い応用に期待があつまります。

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