【応用】長さの基準

日常生活の中でも、長さを正確に測り知ることは非常に重要です。この長さの基準は世界的に決められており、その決め方も技術の進歩によって変遷してきました。1960年までは、白金-イリジウム合金製のメートル原器が、1983年まではクリプトンランプの放射する特定波長を基準として長さの基準が決められてきました。その後、ヨウ素安定化ヘリウムネオンレーザーが基準として採用されています。

長さの単位である「メートル」は「光が真空中に2億9979万2458分の1秒のあいだに進む距離」と1983年の改定時に定義されました。つまり、時間と距離を正確に知る必要があります。時間は、原子時計で非常に正確に測定されます。長さは光波干渉法により測定されますが、その基準にヨウ素安定化ヘリウムネオンレーザー(波長633nm)が用いられます。このレーザーが使われている理由は、波長の安定度・確度が良好であり、小型で操作性に優れるからです。また、現在測長用干渉光源として多くはヘリウムネオンレーザーが用いられており、この校正のためにも好都合という理由があります。

ヨウ素安定化レーザーは、基本的に鏡2枚を対向させた共振器内にヘリウムネオンのレーザー増幅管に加え、ヨウ素分子を封入した吸収セルを置く構造となっています。筐体は、アルミ円筒で作られていますが、重要な部分(鏡の間隔を制御する部分)はスーパーインバーで作られています。全体の長さは40cm程度と非常にコンパクトになっています。

一般的に、レーザーは波長変化に対し出力変化はなだらかに変化しますが、ヨウ素安定化レーザーの場合、ヨウ素分子の吸収変化のあるところで微妙に急峻な変化をします。これを一定に制御することで、波長精度の極めて高いレーザー光を実現しています。このレーザーの確度(再現性)は、10-11以上であり、鏡の間隔30cmを0.000000003mm(原子直径の1/100程度)以下の精度で制御することに相当します。これを実現するために、圧電素子が使用されています。

この長さの基準となるレーザーは、産総研(旧計量研)が管理しています。1997年には、世界の基準との相互比較が行われ2×10-11の精度で波長が一致していることが確かめられました。このように、7桁の精度しかなかった白金-イリジウム合金のメートル原器、9桁の精度のクリプトンランプを経て、11桁の精度で長さの基準が管理されるようになりました。

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