【応用】オートフォーカス

カメラなど撮像機器を用いて観察・計測する際に、焦点を自動で合わせる機能であるオートフォーカス(AF)が利用されています。AFは、人が取得画像を確認しながら焦点を合わせるより、高速に正確に焦点を合わせることができます。そのため、微細なレーザー加工を行う分野でも広く使われるようになってきました。

AFの原理としては、
・レーザーAF
・位相差AF
・コントラストAF
があります。

それぞれの原理には、一長一短あるのですが、位相差AFとコントラストAFの場合、一度画像を取得して、その画像を処理しながら焦点を求めます。余分な装置が不要なため、簡便でコストも抑えられますが、暗闇など画像を明確に取得できない場合はうまく働きませんし、画像処理に時間がかかるという問題もあります。

一方のレーザーAFは赤外線レーザーを用い、自らが光を発するため薄暗い場所でも利用可能ですし、高速に処理できるというメリットがあります。しかし、測長用のレーザーと受光素子を付加する必要がありますので、サイズ・コストの面で不利となります。

技術の進歩とコストダウンの努力でレーザーAFは身近になってきており、スマートフォンにも搭載されるまでになりました。

レーザーの活躍の場がさらに増えてきています。

【基本】高調波化

レーザーは、その基本波をそのまま加工に用いることもありますが、集光性や材料吸収性の観点から、波長変換をして高調波を用いることもあります。例えば、Nd:YAG, Nd3+:YVO4のからの基本波1064nmを変換素子を用いて波長変換し、2倍、3倍の振動数のレーザー光を作り出すことができます。周波数\(\omega(= 1 / \lambda)\)を2倍にした第2高調波(SHG:Second Harmonic Generation, 532nm)や3倍にした第3高調波(THG:Third Harmonic Generation, 355nm)が実際に加工では用いられています。さらに、あまり見かけませんが、第4高調波(FHG, 266nm)もあるようです。

この高調波を生み出す原理は、非線形結晶を透過させることで実現しています。

SHGの場合、\(\omega_2 = \omega_1 + \omega_1\)ですから、$$ 9398cm^{-1} + 9398 cm^{-1} = 18796 cm^{-1} \simeq 532 nm $$

THGの場合、\(\omega_3 = \omega_1 + \omega_2\)ですから、$$ 9398cm^{-1} + 18796 cm^{-1} = 28194 cm^{-1} \simeq 355 nm $$

FHGの場合、\(\omega_4 = \omega_2 + \omega_2\)ですから、$$ 18796cm^{-1} + 18796 cm^{-1} = 37592 cm^{-1} \simeq 266 nm $$

となります。しかし、変換効率は100%ではありませんので、変換するごとに出力は低下します。この変換効率の向上と高出力化が課題となっています。しかしながら、特に微細加工においては、紫外領域のレーザーが有利である場合が多いため非常に注目されています。

SHG, THGを発生させる光学素子としては、LBO結晶があります。また、FHGを発生させるには、KTP結晶とCLBO結晶が使われます。

多くのレーザーメーカーから高調波を発生させるレーザー光源が販売されています。波長変換部をモジュール化して光源と一体化したレーザーが多く見られます。

【基本】反射と屈折

光が異なる2つの媒質の境界に入射するときには、反射と屈折が発生します。この現象を下図を使ってみていきます。

光がxy平面にある媒質1(屈折率\(n_1\))から媒質2(屈折率\(n_2\))の境界に入社する場合を考えます。境界面で光の一部は反射し、一部は透過します。入射光、反射光、透過光の電界ベクトルをそれぞれ\(E_a, E_r, E_t\)とします。このベクトルのxz平面に平行な振動成分と、垂直な振動成分をそれぞれp,sで表します。

電界ベクトルのp成分は、次のように表されます。

\begin{gather}
E_{ap} = A_p \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi_1 + z \cos \phi_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{rp} = R_p \exp [ i \{ \omega t – k_1 (x \sin \phi^{‘}_1 + z \cos \phi^{‘}_1) \} ]
\end{gather}
\begin{gather}
E_{tp} = T_p \exp [ i \{ \omega t – k_2 (x \sin \phi_2 + z \cos \phi_2) \} ]
\end{gather}

ここで、\( \phi_1 , \phi^{‘}_1 , \phi_2 \)は、入射、反射、透過光の境界への角度、\(A_p , R_p , T_p\)はそれぞれ入射、反射、透過光の振幅、\( \omega \)は角振動数、\(k_1, k_2\)は媒質1,2での波数です。

境界線z=0において時刻tによらず位相が同じである必要がありますから、$$ k_1 \sin \phi_1 = k_1 \sin \phi^{‘}_1 = k_2 \sin \phi_2 $$ である必要があります。

この式の左辺と中辺より、$$ \phi_1 = \pi – \phi^{‘}_1 $$ が成り立ち、入射光と反射光の角度は、z軸に対して対称であることがわかります。

また、左辺と右辺より$$ k \equiv 2 \pi / \lambda $$ の定義を用いて、$$ \frac{\sin \phi_1}{\lambda_1} = \frac{\sin \phi_2}{\lambda_2} $$となります。

さらに、$$ \omega \equiv 2 \pi \nu , n \equiv c / v , v = \lambda \nu $$の関係を使うと、$$ n_1 \sin \phi_1 = n_2 \sin \phi_2 $$となります。この関係から、$$ \phi_1 \neq \phi_2 $$であることが分かります。つまり、境界面で透過した光はその進む方向が屈折します。これは、スネルの法則と呼ばれています。

【応用】レーザーポインター

レーザーの応用の一つで、我々の生活になじみのあるものとして、レーザーポインターがあります。

レーザーポインターの例

プレゼンテーション等で自分から離れた場所を指し示すために使われます。レーザーは遠くまで真っすぐに届きますから、支持棒で指し示すことができないほど遠くの場所へも対応可能です。遠くからでも、輝点ははっきりしており、見やすく便利です。小さく軽いので片手で操作もできます。価格も数千円~と手ごろです。

ポイント例

輝点は赤色が多いですが、最近は緑色のレーザーポインターや、ポイントの形状が点だけではなく、四角だったり、矢印だったり変形するものもあります。さらに、ボールペンや、プロジェクターなどの機器を制御する機能が付加されているものもあるようです。

ここで使われているのは、半導体レーザーです。こちらのページにありますように、通常は半導体レーザーにコリメートレンズ、駆動回路がパッケージされて数cm程度の大きさです。電源をつなぐだけで動作します。

レーザーは出力によっては、人体に悪影響を与えますから、扱いには注意する必要があります。特にレーザーポインターのように、誰でも容易に入手でき使用できる機器は製造する側にも規制があります。2001年以降、1mW以上の出力を持つレーザーポインターの製造販売や輸入販売は法律で禁止されています。

【基本】偏光の記述

1.ジョーンズベクトル

光を波としてみたときに、その振動方向は偏っています。その記述方法について記します。

z軸方向へ進む電磁波を考えたとき、ある時刻のx,y方向成分の振幅は、xy平面にて以下のように表されるとします。

\begin{gather}
E_x = E_{0 x} e^{i \phi_x} \label{eq:1} \end{gather}
\begin{gather}
E_y = E_{0 y} e^{i \phi_y} \label{eq:2} \end{gather}

これを、ベクトルを使い、次のように表したものをジョーンズベクトルと呼ばれています。

\begin{gather}
\mathbf{J} \equiv \left[
\begin{array}{c}
E_x\\
E_y
\end{array}
\right]
\end{gather}


ここで、\(E_x = E_{x0} / \sqrt{E_{x0}^2 + E_{y0}^2 }, E_y = E_{y0} \cdot e^{i \phi} / \sqrt{E_{x0}^2 + E_{y0}^2}\)です。

例を下図に示します。

2.ジョーンズ行列

ジョーンズベクトルを使えば、光が光学素子を通っていく過程でどのような変更状態になっているかを表現できます。下図のように光学素子に光が入射する場合を考えます。

光は線形結合が成り立つので、入射光の振幅\(E_{1x}, E_{1y}\)と出射光\(E_{2x}, E_{2y}\)の間を次の関係で表すことができます。

\begin{gather}
E_{2x} = T_{11} E_{1x} + T_{12} E_{1y} \end{gather}
\begin{gather}
E_{2y} = T_{21} E_{1x} + T_{22} E_{1y} \end{gather}

Tは光学素子の特性を表す定数となります。上式をまとめて、次のように書きます。

\begin{gather}
\mathbf{J_{2}}= \mathbf{T} \mathbf{J_{1}} \end{gather}
\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
T_{11} && T_{12} \\
T_{21} && T_{22}
\end{array}
\right]
\end{gather}

このTはジョーンズ行列と呼ばれています。光が次々と光学素子を通過しているときには、次のように行列の積で表していくことができます。

\begin{gather}
\mathbf{J_{2}}=\mathbf{T_{N}} \cdot \cdot \cdot \mathbf{T_{3}}\mathbf{T_{2}}\mathbf{T_{1}} \mathbf{J_{1}} \end{gather}

次にいくつかの例をあげます。

(1)直線偏光子(linear polarizer)

\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
1 && 0 \\
0 && 0
\end{array}
\right]
\end{gather}

(2)遅相子(wave retarder)

\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
1 && 0 \\
0 && e^{-i \phi}
\end{array}
\right]
\end{gather}

①4分の1波長遅相子:\(\phi = \pi / 2\)の時。4分の1波長板。
②2分の1波長遅相子:\(\phi = \pi \)の時。2分の1波長板。

(3)偏光回転子(polarization rotator)

\begin{gather}
\mathbf{T} = \left[
\begin{array}{cc}
cos{\theta} && -sin{\theta} \\
sin{\theta} && cos{\theta}
\end{array}
\right]
\end{gather}

光学活性媒質、ファラデー回転子などです。

【基本】偏光

電磁波である光は、進行方向と垂直に振動する横波で、その振動方向が空間的、時間的に変化(偏る)偏光という現象があります。これを見ていきます。

光がz方向へ伝搬していくとした場合、電界ベクトル\(E=(E_x, E_y, 0)\)を次のように表すものとします。

\begin{gather}
\mathbf{E} = \mathbf{E_0} e^{i (\omega t – k z)} \label{eq:1} \end{gather}

ここで、xy面内で振動する振幅は\(E_0 = (E_{0 x}, E_{0 y}, 0)\)とします。ある任意の時間のxyの成分は次のように表されます。

\begin{gather}
E_x = E_{0 x} e^{i (k z + \phi_x)} \label{eq:2} \end{gather}
\begin{gather}
E_y = E_{0 y} e^{i (k z + \phi_y)} \label{eq:3} \end{gather}

両者の初期位相差は、次のように表されます。

\begin{gather}
\phi \equiv \phi_x – \phi_y \label{eq:4} \end{gather}

この\( \phi \)の値によって、偏光状態が変わります。

(1)直線偏光

直線偏光を見ていきます。

\(\phi = 2m\pi\)(m:整数)の時、\(E_y = \frac{E_{y0}}{E_{x0}} E_x\)
\(\phi = (2m+1) \pi\)(m:整数)の時、\(E_y = – \frac{E_{y0}}{E_{x0}} E_x\)

このことから、xy平面で電界ベクトルの写像を考えますと、それぞれ傾き\(\frac{E_{y0}}{E_{x0}}\)、\(– \frac{E_{y0}}{E_{x0}}\)を持って直線的に振動することが分かります。

下図に、直線偏光のイメージを描いてあります。光はz軸(正)方向に進んでおり、進行方向と垂直に振動しています。振動の様子のxy平面への写像を赤線で記してあります。横波は七色に色付けしてありますが、これは、電場の動きを理解しやすくするためで、実際の色とは関係がありません。xy平面を見ますと、電界ベクトルがどのようなふるまいをしているのかわかります。直線偏光では、その名前が示す通り直線に振動していることが分かります。

(2)円偏光

次に、円偏光です。

\(E_x = E_y ( \equiv E), \phi = \pm (\pi / 2) + 2m \pi\)の時、

\begin{gather}
E_x = E cos( \omega t – k z + \phi_x) \end{gather}
\begin{gather}
E_x = \mp E sin( \omega t – k z + \phi_y) \end{gather} (複号同順)

ですので、

\begin{gather}
E_x^2 + E_y^2 = E \end{gather} 

となります。つまり、xy平面への写像は円となります。\(\phi = (\pi / 2)+2m \pi \)の時、右回りとなり、\(\phi = -(\pi / 2)+2m \pi \)の時、左回りとなり、図は、Z軸(正)方向に右回りで進む波のイメージ例です。

(3)楕円偏光

最後に楕円偏光です。\(E_x \neq E_y\)で、\( \phi = \pm (\pi / 2) + 2m \pi\)(m:整数)の時、それぞれ右回り、左回りの楕円偏光となり、次のようになります。

\begin{gather}
\frac{E_{x0}}{E_x} + \frac{E_{y0}}{E_y} = 1 \end{gather}

また、\( \phi = \pm (\pi / 2) + 2m \pi\)ではないときには、

\begin{gather}
E_x = E cos( \omega t – k z + \phi_x) \end{gather}
\begin{gather}
E_x = \mp E sin( \omega t – k z + \phi_y + \phi) \end{gather} 

であり、楕円は次式で表されます。

\begin{gather}
\frac{E_{x0}}{E_x} + \frac{E_{y0}}{E_y} – 2 \frac{E_{x0} E_{y0}}{E_x E_y} cos{\phi}= sin^2{\phi} \end{gather}

下図に、長軸が傾いて右回りの楕円偏光のイメージを示します。

イメージ画像は、R言語にて作成しました。そのコードを記しておきます。楕円偏光の様子のコードです。

library("threejs")

x_min = -pi
x_max = pi
y_min = -3
y_max = 3
z_min = -3
z_max = 3

x <- seq(x_min, x_max, by=0.03)
y <- cos(x*3)
z <- cos(x*3 - pi/5)
x_zy <- rep(x_min, length(x))

axis_x_yz<-c(x_min, x_min, x_min, x_min, x_min, x_max)
axis_y_yz<-c(y_min, y_max, 0, 0, 0, 0)
axis_z_yz<-c(0, 0, z_min, z_max, 0, 0)

scatterplot3js(axis_x_yz, axis_y_yz, axis_z_yz, xlim=c(-3, 3), ylim=c(-3, 3), zlim=c(-3, 3), size = 0.1, color="blue", axisLabels=c("Z", "Y", "X")) %>%
  lines3d(c(1, 3, 5), c(2, 4, 6), color = "black", lwd=1) %>%
  points3d(x, y, z, size = 0.2, color=rainbow(length(z))) %>%
  points3d(x_zy, y, z, size = 0.1, color="red") 

【基本】光の性質

1.Maxwell方程式

光の特性は、これを電磁波をみなして評価することが多いです。電磁波の振る舞いはMaxwellの方程式として知られ、以下の様に表されます。

\begin{gather}
\nabla \times \mathbf{E} = – \frac{\partial \mathbf{B}}{\partial t} \label{eq:1} \end{gather}
\begin{gather} \nabla \times \mathbf{H} =\frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t} \label{eq:2} \end{gather}
\begin{gather} \nabla \cdot \mathbf{D} = 0 \label{eq:3} \end{gather}
\begin{gather} \nabla \cdot \mathbf{B} = 0 \label{eq:4} \end{gather}

ここで、\(E, H, D, B\)は、それぞれ電磁波の電界、磁界、電束密度、磁束密度を表すベクトルで、空間と時間の関数です。また、誘電率\(\epsilon\)と透磁率\(\mu\)を用いて、次の関係があります。

\begin{gather} \mathbf{D} = \epsilon \mathbf{E} \label{eq:5} \end{gather}
\begin{gather} \mathbf{B} = \mu \mathbf{H} \label{eq:6} \end{gather}

2.波動方程式の導出と光の速度

波動方程式を導出して光の性質を見ていきます。以降、真空または誘電体(電荷も電流もない透明媒体)を考えます。(よって、式(3)と式(4)が成り立っています。)

式(2)の両辺を時間で偏微分すると、

\begin{gather} \nabla \times \frac{\partial \mathbf{H}}{\partial t} = \epsilon \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2} \label{eq:7} \end{gather}

となります。また、式(1)の両辺のrotをとり、式(7)を考慮すると、

\begin{gather}
\nabla \times \nabla \times \mathbf{E} = – \mu \nabla \times \frac{\partial \mathbf{H}}{\partial t} = – \epsilon \mu \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2} \label{eq:8} \end{gather}

となります。ここで、ベクトル解析の公式より、

\begin{gather}
\nabla \times \nabla \times \mathbf{E} = \nabla (\nabla \cdot \mathbf{E}) – \nabla^2 \mathbf{E} = -\nabla^2 \mathbf{E}
\label{eq:9} \end{gather}

となります。式(8)と式(9)から、次の式が得られます。

\begin{gather}
\nabla^2 \mathbf{E} = \epsilon \mu \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2}
\label{eq:10} \end{gather}

ここで、

\begin{gather}
\nu = 1 / \sqrt{\epsilon \mu}
\label{eq:11} \end{gather}

とすると、電界について次の関係が得られます。

\begin{gather}
\nabla^2 \mathbf{E} = \frac{1}{\nu^2} \frac{\partial^2 \mathbf{E}}{\partial t^2}
\label{eq:12} \end{gather}

また、同様に磁界についても次の式が得られます。

\begin{gather}
\nabla^2 \mathbf{H} = \frac{1}{\nu^2} \frac{\partial^2 \mathbf{H}}{\partial t^2}
\label{eq:13} \end{gather}

式(12)と式(13)はともに、任意の関数が時間によって形を変えずに空間を移動する様子を表す波動方程式です。ちなみに、波動方程式は電磁波に限った方程式ではなく、すべての波を表す一般的な方程式です。例えば、弾性体中の縦波や、弦の振動、潮の満ち引き、電線を伝わる波なども表現します。\(\nu\)は、同じ位相の点が進む速度を表し、位相速度と呼ばれています。3次元の場合、波動の位相が等しい各点は曲面になり、この面を波面と呼んでいます。ただし、実際は媒質が移動するのではなく、単にその場で振動をしているだけです。

式(11)に真空の誘電率\(\epsilon_0\)と透磁率\(\mu_0\)を入れると、真空中の速度が求まります。

\begin{gather}
\epsilon_0 = 8.85418717 \times 10^{-12} [F/m]
\label{eq:14} \end{gather}
\begin{gather}
\mu_0 = 4 \pi \times 10^{-7} [H/m]
\label{eq:15} \end{gather}

これより、光の速度は次の様に求まります。

\begin{gather}
c = 1 / \sqrt{\epsilon_0 \mu_0} = 2.99792458 \times 10^{8} [m/s]
\label{eq:16} \end{gather}

これは、とりもなおさず光が電磁波であることの証左です。今後、光を表すので、速度\(\nu\)をcとします。

3.波動方程式の一般解

波動方程式の一般解を見てみます。簡単のため、1次元で考えてみます。式(12)は、次の様に表されます。

\begin{gather}
\frac{\partial^2 E}{\partial x^2} = \frac{1}{c^2} \frac{\partial^2 E}{\partial t^2}
\label{eq:17} \end{gather}

この一般解は、次の様に波を表す関数\(f, g\)が時間tと変位xの一時結合となっています(検算をすれば簡単にわかります。)。

\begin{gather}
E = f(x – c t) + g(x + c t)
\label{eq:18} \end{gather}

つまり、fの時間に対する変化と位置に対する変化が同じということです。ということは、x軸(正)に対して起こった変化が、t軸(負)に対して起こるということです。これは、波が形を変えずに伝搬していく現象そのものです。

ただし、関数f,gが具体的にどのような形かは、この微分方程式だけからは分かりません。その形は最初の波形(初期条件)と境界での反射の条件(境界条件)によって定まります。一般に解は正弦関数や余弦関数を用いることが多いです。なぜなら、これらの関数によってすべての波を表現できるからです。

一般解のもつもう一つの重要な意味は、一時結合\(\xi = x – c t\)が一定値をとるなら、\(f(\xi)\)も一定値をとります。この場合、x-t平面で考えるとxはtに対して傾きcの直線となり、その直線に沿って波の変位が一定の部分が移動しているということです。つまり、\(f(\xi)\)は形を保ったままx軸(正)の方向へ速度cで進んでいくことになります。

ここまでは、1次元で現象を確認しましたが、これを空間内で考えるため3次元に拡張します。波動の進行方向を表す単位ベクトル\(\mathbf{e}\)と位置ベクトル\(\mathbf{r}\)を用いて、次のようにあらわされます。

\begin{gather}
\mathbf{E} = \mathbf{f}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} – c t) + \mathbf{g}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} + c t)
\label{eq:19} \end{gather}

eとrの内積により、その方向へ進んだ距離を表します。

4.横波

波動方程式の一般解から、電磁波が横波であることを確認します。式(3)と式(5)から、電界は発散しないことが分かります。すなわち、

\begin{gather}
\nabla \cdot \mathbf{E} =0 \label{eq:20} \end{gather}
\begin{gather}
\nabla \cdot (\mathbf{f}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} – c t) + \mathbf{g}(\mathbf{e} \cdot \mathbf{r} + c t)) =0 \label{eq:21} \end{gather}\begin{gather}
\frac{\partial}{\partial x}(f_x + g_x) + \frac{\partial}{\partial y}(f_y + g_y) + \frac{\partial}{\partial z}(f_z + g_z) =0 \label{eq:22} \end{gather}
\begin{gather}
e_x(f’_x + g’_x) + e_y(f’_y + g’_y) + e_z(f’_z + g’_z) =0 \label{eq:23} \end{gather}
\begin{gather}
\mathbf{e} \cdot (\mathbf{f} + \mathbf{g}) =0 \label{eq:24} \end{gather}

ベクトルeとf+gの微分の内積が0ということは、電磁波の進行方向には電場は変化しないということです。すなわち、電場は進行方向と垂直方向にしか存在しえない、つまり、横波ということです。磁場についても同様なことが言えます。

5.電場と磁場

電場と磁場の関係を見てみます。簡単のため、z軸方向に進む電磁波でx方向の振幅成分だけがあるとします。つまり、

\begin{gather}
E_x = f(z-ct) + g(z+ct) \label{eq:25} \end{gather}
\begin{gather}
E_y =0 \label{eq:26} \end{gather}
\begin{gather}
E_z =0 \label{eq:27} \end{gather}

と表される電磁波を考えます。式(1)において、各成分に分解して考えます。

\begin{gather}
\frac{\partial E_y}{\partial z} – \frac{\partial E_z}{\partial y} + \frac{\partial B_x}{\partial t} = 0 \label{eq:28} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial E_x}{\partial z} – \frac{\partial E_z}{\partial x} + \frac{\partial B_y}{\partial t} = 0 \label{eq:29} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial E_y}{\partial x} – \frac{\partial E_x}{\partial y} + \frac{\partial B_z}{\partial t} = 0 \label{eq:30} \end{gather}

ここで、式(25)、(26)、(27)を代入すると、

\begin{gather}
\frac{\partial B_x}{\partial t} = 0 \label{eq:31} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial B_y}{\partial t} = – f'(z-ct) – g'(z+ct) \label{eq:32} \end{gather}
\begin{gather}
\frac{\partial B_z}{\partial t} = 0 \label{eq:33} \end{gather}

となります。tで積分すると、次の式となります。

\begin{gather}
\partial B_y= \frac{1}{c} f(z-ct) – \frac{1}{c} g(z+ct) \label{eq:34} \end{gather}

このように、電場と磁場は定数cの違いはありますが、同じ形で進むことになります。また、電場はx成分だけだったものが、磁場はy成分のみとなっています。つまり、電場と磁場は直交していることが分かります。

6.さいごに

以上のように、Maxwell方程式から波動方程式を導出し、その一般解を解釈することで、波は波形を保ったまま伝搬する事、波は横波であること、電場と磁場は直交していることを示しました。