【応用】サビ落とし

レーザーアブレーションの応用としてサビ落としがあります。アブレーションの閾値の差を利用して、材料表面についたサビのみを除去する技術です。パラメータを最適に設定することで、下地には全く損傷を与えることなくレーザーによりクリーニングすることができます。

パルス幅9ns、フルエンス0.3~0.4J/cm2、もしくは、パルス幅200ns、フルエンス1~4.4J/cm2のNd:YAGレーザーを照射することで厚さ4μmの赤サビをきれいに除去できているようです。除去後の表面粗さは0.89μmだったとのことです*。

市販化されている装置は、ヘッドを手に持ち、レーザーを対象物に照射するタイプが多いようです。ヘッドにはガルバノスキャナが内蔵されているものもあり、より高効率なサビ除去ができることが期待できます。レーザー出力は、100W程度以上のパルス発振のファイバーレーザーが使い勝手も良く多用されているようです。

ファイバーレーザーを使うことができれば、ロボット等によるレーザーのハンドリングが可能になるため、様々な表面形状に対して柔軟にサビとりを行うことができます。さらに、CAD/CAMと連携できれば自動で作業を実施できる可能性もあります。

また、アブレーション閾値の差を利用するため、サビだけではなく、成形型に付着した樹脂や金属についたセメント、金属に付着した油脂等の除去にもレーザークリーニングが使われます。

レーザーによるクリーニングは、従来はサンドペーパーや薬品に頼っていた作業を手軽に安全に環境にやさしい作業へと変えてくれました。今後も利用領域は拡大していくものと思われます。

*出典:レーザー応用工学、コロナ社、小原他

【応用】美術品の修復

絵画や彫刻品の修復にもレーザーが活躍しています。汚れた空気や経年劣化から美術品の表面がくすむ等の劣化が見られる場合があります。レーザーアブレーションの技術を使い、表面をほんの僅かだけ削り、元の表面を露出させ修復します。


PhotonicsMediaの記事にあるように、フィレンツェの研究所にて絵画を修復しています。様々なテストを行い、レーザーアブレーションで問題となる加工後の黄味がかった色を加工パラメータの最適化で克服しています。
ギリシャのFotakis教授のグループはKrFエキシマレーザーを用いて17世紀のイコンを修復したとしています。修復前後で見比べると、レーザーを用いた修復の効果がはっきり分かります。


また、近年の超短パルスレーザーの発展により、より高品質な修復ができる可能性も出てきました。”The potential of UV femtosecond laser ablation for varnish removal in the restoration of painted works of art”の記事にあるように、Paraskevi Pouli氏らのチームは、パルス幅500fsのTiサファイアレーザーを用いてナノ秒レーザーより高いエッチング分解能を実現しています。

イタリアのQuanta System社は、美術品のレーザー修復専用装置を販売しています。

このように、アートの世界でもレーザーが活躍しています。

【応用】重力の絶対測定

重力は、重さの源であり重力があるから重さを認識でき、地球上の物体は重力の存在を前提に構成されています。この重力を精密に測定するためにもレーザーが応用されています。

以前は、重力振り子によって重力の絶対測定が行われていました。振り子の周期Tが重力加速度gの平方根に反比例しますので、周期を測定することで間接的に重力値を求めていました。振り子の長さをlとすると、周期Tは、次のようにあらわされます。

$$ T = 2 \pi \sqrt{ \frac{l}{g} } $$

しかし、振り子の長さを正確に求める必要があるため、厳密には直接的な絶対測定とは言えず、相対測定として使用されてきました。

現在の、絶対重力は自由落下法を用いています。真空中で空気の摩擦を除いて物体を落下させると、落下速度vは、落下時間tを用いて次のようにあらわされます。

$$ v = v_0 + gt $$

ここで、v0は初速度です。この式を、tで一度積分すると、落下距離sと落下時間tの関係が求められます。

$$ s = s_0 + v_0 t + \frac{1}{2} g t^2 $$

s0は初期位置です。この関係を見ると、長さsと時間tは基準として定義されており、正確に求めることができます。したがって、重力の絶対測定ができるわけです。

具体的には、次図にしめす原理で距離を測定します。原理的にはマイケルソンレーザー干渉計で、落下する物体の位置を測定します。ポイントは、反射鏡にコーナーキューブプリズムを利用していることです。コーナーキューブプリズムは、入ってきた光を全く同じ方向へ返すという特徴があります。これにより、反射鏡(コーナーキューブプリズム)が傾いても光を平行のまま戻すことができます。参照用と検出用の両方の反射鏡をコーナーキューブプリズムとして、参照用コーナーキューブプリズムは固定、検出用コーナーキューブプリズムは落下させて、その距離を測定します。

光源のレーザーとして、ヘリウムネオンレーザー(波長633nm)を利用した場合、検出用コーナーキューブプリズムが約320nm落下するごとに検出器で検出される干渉縞の明暗が1回だけ変化します。この明暗をカウントすることで落下距離がわかります。さらに高分解能を達成するために、明暗の1周期を内挿する場合もあります。

時間は、ルビジウム原子時計を標準として測定されます。これら、標準値を用いた測定により重力の絶対測定が行われています。

この原理を利用した絶対重力計は市販されています。米国のMicro-g LaCosteから種々のタイプが販売されています。

レーザーは、その特異な特長から、非常に重要な測定にも活用されています。

【基本】非球面レンズの加工

非球面レンズは、収差を抑えたり薄くできたりと、球面レンズに比べて多くのメリットがあります。しかし、表面が単なる球面ではありませんので、その製造には工夫が必要です。

1. 型を使う方法

球面レンズでも非球面レンズでも、型を用いて成型によりレンズを作ることは従来から行われてきました。この方法では、大量のレンズを精度よく低コストで製造できます。

従来から、金属の型を超精密旋盤等の工作機械を用いてきました。高精度の工作機械を用いると表面を非常になめらかに加工でき、また、形状も自由に変えることができます。この金属の型で樹脂を成型してCDのピックアップレンズや低価格のカメラなどの光学機器が作られてきました。

しかし、ガラスは融点が高いために金属の型では成型が困難でした。そこで、近年は耐熱性のファインセラミックスが登場に、それによりガラスの成型も可能になりました。このように型で成形されたレンズは、モールドレンズと呼ばれ、デジタルカメラなどのレンズに多用されるようになりました。

また、複合非球面レンズと呼ばれ、ガラスのレンズの表面に樹脂のレンズを成型したものもあります。基材がガラスのため、プラスチックレンズよりも温度や湿度の影響を受けにくいという特徴があり、焦点距離の変動が少ないため、カメラの交換レンズ等に応用されています。

2. 非球面創生

型による大量生産ではなく、1つ1つ非球面レンズを加工していく方法もあります。レンズの製造過程で、砂かけ・研磨の段階がありますが、この時にレンズの表面に非球面形状を創生します。こちらは、高額な型を作らないため、多品種少量生産に向いています。

加工原理から、半径方向の同心円の細かな傷を除去することが非常に困難です。そのため、多くの研究がなされています。

レーザー微細加工をご利用の際のヒント

レーザー加工と言っても、実は、そのレーザーにも色々な種類があるのです。

 前半では、レーザーの使用用途によって、色々な種類があること。それを身近な例を引きながら、ご説明します。
 後半で、微細加工で使用されるレーザー加工の得意な点、不得意な点についてご紹介します。

●レーザーにも色々な種類があることを説明する為、所謂、「クルマ」を例にご説明します。

 日頃から、街中でもよく見かけるクルマにもレーザー同様に色々な種類があり、それぞれの得意分野があります。それでは具体的に、見ていきましょう。

 消防車は火を消すための専用車。トラックなら大量の荷物を運ぶことが得意。ミニバンなら多人数乗車と大きめの荷物を積むのに都合が良い。SUVなら、荒れた道でも安心して走れる。

 F1カーなどのレーシングカーは荒れた道は大の苦手。しかし、専用サーキットコースであれば、クルマ界では、最も速く走れるクルマです。

 一言に、クルマといっても、色々な種類があるというイメージを持っていただけたと思います。

 要するに、「レーザー」という“名前”は、色々な種類のレーザーをひっくるめた呼び名。それは、「クルマ」という“名前”のなかに、多様なクルマが含まれているのと同様です。

 従いまして、レーザーも、その種類によって、得意・不得意があります。

 例えば、会議などで使用するレーザーポインター。脱毛治療などに使用するレーザー。眼科治療に使用するレーザー。厚い金属板を火花を散らしながら切断するレーザー、など。

 世の中では、多様なレーザーが、それぞれの特徴を生かして、様々な現場で活躍しています。各分野のレーザーの仕事は、他の仕事が得意なレーザーでの置き換えはできません。つまり、金属板を切断するレーザーで、脱毛治療はできないという意味です。

●さて、ここからが後半です。当社でレーザー微細加工に使用しているレーザーにも、実は、得意・不得意があります。一応、念のために、補足しますが、後述する“不得意なこと”でも、条件によっては不得意でなくなる場合があります。
 このページで、敢えて、不得意なことをホームページに載せるのは、比較によって“得意なこと”の理解を助ける為ですので、ご承知おきください。

【得意なこと。特徴など。】

・少しずつ加工する。
 深さでいうと数μm~数十μmずつなどエッチングするような加工など。

・加工される部分以外への熱影響はほぼ無し。
 だから、樹脂材料でも焦げなく加工できるものが多い。

・薄く壊れやすい材料への微細加工(数十μm程度)
 例えば、切断加工、穴あけ加工など。
 加工時の振動、接触、摩擦、熱などがほとんど無く、材料へのダメージなどは、ほとんどありません。機械(刃物)加工の場合、一般的に、刃物と材料の接触で曲がってしまうなどの問題がありますが、超短パルスレーザーでの加工の場合、物理的な接触が無い為、そのような心配はありません。

・微細な形状を形成する。
 金属表面に段差50μmの階段を3段作る。

・数十μm程度の厚さの材料に、Φ10μm程度の穴を狭いピッチ(数十μm程度)で、Φ1mmのエリア内などに多数あけること。

・数mm×数mm程度のサイズに切り出す加工。或いは、数十μm×数十μmなどの切り出し加工も可能。薄い材料の方が得意。

・数十μm□~数十mm□程度の表層部分(数μm~数十μm)のみを除去すること。ただし、除去した表面には、レーザースポットの関係で、多少の凹凸は残ります。

【不得意なこと(できないわけではないけれど…)】

・深さ(厚み)数mm程度の加工。加工はできますが、時間がかかるという意味で不得意領域。

・大面積への加工。
 レーザーのスポットが十数μm程度なので大面積への加工は時間がかかる。

・通常、穴をあけると、穴の一方(レーザー出射側の方)の直径が小さくなる。 所謂、テーパー穴となります。
 但し、加工方法によっては穴の入口、出口の径がほぼ同じにすることも可能。

以上、微細加工の御検討の際に、参考なれば幸いです。

【応用】重力波の検出

以前、レーザーを利用した検出器としてマイケルソン干渉計を紹介しました。

今回は、この干渉計の利用例として重力波の検出を紹介します。重力波とは、重力の影響が波動として伝搬するという現象で、アインシュタインの一般相対性理論によって予言されました。一般相対性理論では、重力の相互作用を時空間の曲がりとして表現します。すると、重力波は時空間のゆがみが伝搬する効果となって現れます。つまり、重力波があると時空間がわずかに変化することになります。この歪みを検出する装置が重力波検出器です。

この重力波を検出するために、かつては様々な実験が行われました。1960年代には、ウェーバーが大きな機械的な振動子を共鳴振動させ、先端に付けた振動センサの出力変化で検出しようと試みました(実験は成功と発表されましたが、再現できていないようです)。また、宇宙空間にある人工衛星の位置を精密に追跡して重力波による位置のずれから重力波そのものを求めるようとした例(ドップラートラッキング)もあります。さらに、天体からの信号パルサーが重力波で揺らぐとの予測から重力波を求める試みもあります。

様々な試みがなされてきましたが、現在、最も高感度で検出できる装置はマイケルソンレーザー干渉計を利用したレーザー干渉計型検出器と言われています。

基本的な原理は、マイケルソンレーザー干渉計ですが、レーザーを反射する2つの鏡が水平面内で光軸方向へ自由に動くことができるようになっています(自由質量型検出器)。重力波によって2つの光路長に差が生じると検出器によって変位として検出されます。

ある検出器の腕の長さ(レーザーを飛ばす長さ)をLとして、振幅hの重力波によって、検出器のターゲットの位置が\(\)\delta L[/]atex]だけ変化したとすると

$$ h \sim \frac{\delta L}{L} $$

という関係になります。地球上でこの検出器を設置した場合、実用的なレーザー長は3~4km程度です。重力波の振幅hは、10-21~10-22程度と考えられており、干渉計の鏡の変位は水素原子の大きさの10-8程度の変位を検出する必要があることになります。この微小変位を検出するために、様々な工夫がなされています。

一つの例は、レーザーを折り返し何度も鏡に反射させることで光路長を稼ぎ、感度向上させています。また、光による雑音の一種であるショット雑音を低減させるためになるべく大きな出力のレーザーを使います。鏡への外乱を遮断するために除振装置や真空装置を駆使して安定化させています。

このような重力波検出の研究は世界で行われています。米国のLIGO,イタリアとフランスのVIRGO、英国とドイツのGEO600、日本のTAMAなど、世界でその成果を競っています。

【応用】原子・分子のイオン化

レーザーの特徴を使うと、原子・分子をイオン化できます。イオン化された原子・分子は、持っている電荷を増幅しパルス電圧として検出することで、その個数をカウントする研究に利用されています。

原子・分子のイオン化は、それら自身がもつイオン化エネルギーより大きなエネルギーを与えられると実現します。例えば、レーザーの1光子あたりのエネルギーは短波長レーザーほど大きいですが、その一つ、ArFエキシマレーザーでは、1光子あたりのエネルギーは、6.0eV程度です。これに対して、われわれの身近なガスは12~16eVと大きいため、そのままではイオン化できません。

そのため、次の2つの方法があります。

一つ目は、原子が吸収しやすい波長のレーザーを照射し段階を追ってイオン化する方法です(共鳴イオン化法)。この方法では、イオン化したい原子の吸収波長にあわせてレーザー波長を選択する必要があります。このため、波長可変レーザーが使われます。代表的な波長可変レーザーは、色素レーザーやチタン・サファイヤレーザーがあります。

もう一つの方法は、格子密度が非常に高いとどんな原子でもイオン化することを利用して、複数の光子を連続的に照射する方法(非共鳴イオン化法)です。この方法は、エネルギーの大きなレーザーがあれば、どんな原子でもイオン化できるというメリットがあります。実際、イオン化エネルギーが最も高いヘリウム原子(イオン化エネルギー24eV以上)でもイオン化できています。

この方法のイオン化率Wは入射レーザーパワー(P)のべき乗に比例することが知られています。イオン化に必要な光子数をnとすると、

$$ W \propto P^n $$

となります。しかし、どこまでもイオン化率が拡大するわけではなく、ある時点で確率1となり飽和します(イオン化の飽和)。

実際の例としては、水素分子をイオン化した例があります。真空装置中に1×10-4Paで封入し、そこへ、YAGレーザー第2高調波、30psパルス,10mJの超短パルスレーザーを照射することで、2×103個の水素イオンを検出しています。

今回紹介したレーザーの応用例は、レーザーの高密度エネルギーが貢献した特徴的な例であるといえます。

【基本】ポインティングベクトル

電磁波の流れの密度を表すポインティングベクトルを見てみます。

x軸の正の方向に進行する電磁波で、y軸方向に振動している電場を考えます。

$$ \bf{E} = (0, E_y, 0) $$,
$$ E_y = E_0 \sin(kx – \omega t) $$

磁場は、z軸方向に振動します。

$$ \bf{H} = (0, 0, H_z) $$,
$$ H_z = H_0 \sin(kx – \omega t) $$
ここで、\( H_0 = \sqrt{ \frac{\epsilon_0 }{\mu_0} }E_0 \) です。

ここで、電場と磁場のベクトル積を考えます。

$$ \bf{S} = \bf{S} \times \bf{H} = (S_x, 0, 0)$$

これをポインティングベクトルと呼び、電場と磁場に垂直ばベクトルです。この場合、x成分だけが存在し、

$$ S_x = E_0 H_0 \sin^2 (kx – \omega t) $$

となります。

ここで、電磁波が運ぶエネルギー密度の波長あたりの平均を考えてみます。時刻t=0の時にxについて0からλまで積分し、λで割ることで平均を求めてみます。

$$ S_x = \frac{1}{\lambda} \int^\lambda_0 S_x dx = \frac{1}{2} \bf{E_0} \bf{H_0} $$

この値は、時間によりませんが、ある点xにおいて、1周期の時間平均をとった場合も同じ結果となります。

また、電磁場の電場エネルギーと磁場エネルギーの1周期にわたる時間平均は同様に計算して、次のようになります。

$$ \overline{\frac{1}{2} \epsilon_0 E^2_y} = \frac{1}{4} \epsilon_0 E^2_0 $$,
$$ \overline{\frac{1}{2} \mu_0 H^2_z} = \frac{1}{4} \mu_0 H^2_0 $$

この両者は等しいので、次が分かります。

$$ \frac{1}{2} E_0 H_0 = \frac{1}{2} \epsilon_0 E^2_0 \frac{1}{ \sqrt{\epsilon_0 \mu_0} } = c \frac{1}{2} \epsilon_0 E^2_0 $$

これにより、

$$ \overline{S_x} = c( \overline{\frac{1}{2} \epsilon_0 E^2_y} + \overline{ \frac{1}{2} \mu_0 H^2_z}) $$

となり、電磁波のエネルギーがx軸方向へ高速で運ばれており、ポインティングベクトルであらわされることが分かります。

【基本】フラウンホーファー線

太陽光をプリズムを使って分光すると、特定の波長で暗い線が見られます。そのうち、特にはっきりと見える暗線のことをフラウンホーファー線と呼ばれています。

イギリスのウォラストンが1802年に発見しました。その12年後にドイツのフラウンホーファーが独立に数百本の暗線を発見し、長波長側からアルファベットの大文字でAから順に記号を付けて表しました。

記号元素波長 nm
A
B
C
D1
D2
D3
E2
F
G
G
H
酸素
酸素
水素
ナトリウム
ナトリウム
ヘリウム

水素

カルシウム
カルシウム
759.370
686.719
656.281
589.594
588.997
587.565
527.039
486.134
430.790
430.774
396.847

その約50年後には、ドイツのブンゼンとキルヒホフが炎色反応の光に2つの波長589.0nmと589.6nmがあり、フラウンホーファー線のDとD1とそれぞれ一致することを発見しました。

20世紀にはいると、量子力学の進展により、これらの波長が原子の中の電子軌道の変化によるものであることが発見されました。原子中の電子のエネルギー準位の高い軌道から低い軌道へ落ちるときの発光に起因するものであることが分かりました。

太陽は約6000度の高温のため、ナトリウムが気体として存在しています。このナトリウムによって吸収された光が地球に到達したとき、暗線として観察されるわけです。フラウンホーファー線の波長は、原子の軌道間のエネルギー差のみによって決まり、外界の影響を受けないので、波長の同定に用いられます。

天体物理学においては、恒星から届く光のスペクトラムを測定し、赤方偏移によるフラウンホーファー線のずれを調べることで太陽系と恒星の距離を推定することができます。また、フラウンホーファー線の有無から元素の有無を推定できます。

【応用】年代別 科学者

光学を支えてきた多くの科学者がいます。年代順に表示してみます。

グラフはRで作成しました。そのコードは、下記のとおりです。

library(tidyverse)
library(ggplot2)

dat <-matrix( c(
  "ガリレオ", 1564, 1642,
  "ケプラー", 1571, 1630,
  "スネル", 1591, 1626,
  "フェルマー", 1607, 1665,
  "ホイヘンス", 1629, 1695,
  "レーフェンフック", 1632, 1723,
  "フック", 1635, 1703,
  "ニュートン", 1643, 1727,
  "ダランベール", 1717, 1783,
  "ラプラス",1749, 1827,
  "ヤング", 1773, 1829,
  "マリュス",1775, 1812,
  "リッター",1776, 1810,
  "ガウス", 1777, 1855,
  "フラウンホーファー", 1787, 1826,
  "フレネル",1788, 1827,
  "レンツ",1804, 1865,
  "フィゾー",1819, 1896,
  "ザイデル", 1821, 1896,
  "マクスウェル", 1831, 1879,
  "アッベ", 1840, 1905,
  "レントゲン", 1845, 1923,
  "リーギ", 1850, 1920,
  "フィッツジェラルド", 1851, 1901,
  "マイケルソン", 1852, 1931,
  "プランク", 1858, 1947
), ncol=3, byrow = TRUE)

chronological_dat <- dat %>% 
  as.data.frame() %>% 
  rename("name"=V1, "b_year"=V2, "d_year"=V3) %>% 
  mutate(b_year=as.numeric(b_year), d_year=as.numeric(d_year)) %>% 
  arrange(desc(b_year)) %>% 
  mutate(cap=paste(name, "(", b_year, "-", d_year, ")")) %>% 
  pivot_longer(!c(name, cap), names_to="fname", values_to="fyear") %>% 
  ggplot() +
  geom_line(aes(fyear, fct_inorder(name, fyear), group = name), color = 'black', size = 2) +
  geom_point(aes(fyear, fct_inorder(name, fyear)), size = 3) +
  theme(axis.title.x=element_blank(), axis.title.y=element_blank())

chronological_dat