【基本】レーザースポット

レーザースポットの強度は一様ではなく、場所により異なった分布をしています。具体的には、次に示すように半径に対して対称なガウス分布をしています。

\(I(r)=I_0 exp(- \frac{2r^2}{\omega ^2})\)

この様子のイメージ図は下の通りです。上が3次元表示、下が平面内の等高線表示となります。中心部は強度が強く周辺に行くに従い指数関数的に強度が弱くなっています。

このようにレーザー強度がガウス分布をしているため、除去加工ではテーパーがつくことになります。しかし、光学系を工夫することでこのテーパーを制御する試みもあります。

この図は、julia言語にて作成しました。このコードは下記の通りです。

using PyPlot
using Distributions
using LinearAlgebra
using3D() 

n = 100
x = range(-3,stop=3,length=n)
y = range(-3,stop=3,length=n)

xgrid = repeat(x',n,1)
ygrid = repeat(y,1,n)

z = zeros(n,n)

for i in 1:n
    for j in 1:n
        z[i:i,j:j] .= pdf(MvNormal(Matrix(1.0I,2,2)),[x[i];y[j]])
    end
end

fig = figure("pyplot_surfaceplot",figsize=(10,10))
ax = fig.add_subplot(2,1,1,projection="3d")
plot_surface(xgrid, ygrid, z, rstride=2,edgecolors="k", cstride=2, cmap=ColorMap("gray"), alpha=0.8, linewidth=0.25)
xlabel("X")
ylabel("Y")
PyPlot.title("Intensity distribution")

subplot(212)
ax = fig.add_subplot(2,1,2)
cp = contour(xgrid, ygrid, z, colors="black", linewidth=2.0)
ax.clabel(cp, inline=1, fontsize=10)
xlabel("X")
ylabel("Y")
PyPlot.title("Contour Plot")
tight_layout()

【基本】波の表現

光は電磁波の横波です。この波が平面内での挙動を確認してみます。\(x\)軸の正の方向に進む電磁波の電場は、角振動数\(\omega=2\pi\upsilon\)、波数\(k=2\pi/\lambda\)を用いて、初期位相を0とすると、次の様に表されます。

\(E_y=E_0 cos(kx-\omega t)\)

この波は、複素平面で考えると計算上、有利なことが多いです。Eulerの公式\(e^{i \theta }=cos\theta+i sin\theta\)を使えば、

\(E_y=Re[E_0 e^{i(kx-\omega t)}]\)

と表されます。すなわち、複素平面で考えた円運動の実部が電場の振幅としてあらわされるわけです。このことを動画で表現すると下図の様になります。左図が複素平面での円運動の様子です。横軸が虚部、縦軸は実部を表しています。右図は、空間を進む横波の時間変化を示しています。ちょうど時間0の振幅をオレンジ色のマーカーで示しています。このように考えると、計算過程と実際の波を関係づけられますので、理解が深まります。

この動画はjulia言語で作成しました。そのコードは下記の通りです。

using Plots
import ProgressMeter
gr(size=(1000,300))
n = 100  
prog = ProgressMeter.Progress(n,1)

i = -2π:0.02:2π


anim = @animate for t in 0:0.02:2π
    l = @layout [a b]

    x0=zeros(1,length(t))
    x=[cos.(t)]
    y=[sin.(t)]

    global p =plot(xlims=(-6,6),ylims=(-2,2))
    global p=plot!(i, sin.(-i.+t), linecolor = "blue", legend=:false)
    global p=plot!(x0, y, marker=:circle, legend=:false)
    
    global q = plot(xlims=(-2,2), ylim=(-2,2), aspect_ratio=:equal)
    global q = plot!(cos.(-i), sin.(-i), linecolor = "blue", legend=:false)
    global q = plot!(x,y, marker=:circle, legend=:false)
    
    plot(q, p, layout = l, link=:y)

    ProgressMeter.next!(prog)
end
fps = 20
filename = "plot.gif"

gif(anim, filename, fps = fps)

【基本】レーザー波長

レーザーで加工を行うときには、その波長が重要な意味を持ちます。波長により加工性が異なり、加工結果に影響を与えるからです。主なレーザーとその波長を下表に示します。

レーザーの種類レーザー媒質波長(真空中、nm)
気体レーザーHe-Cd
He-Ne
Ar+
CO2
CO
441
633, 1150, 3390
515
10600、9600
5000
液体レーザーローダミン6G色素560 – 640
固体レーザールビー
Ti:Al2O3
Nd3+:YAG
Nd:YVO
Nd3+:YLF
Yb:KGW
Er+:シリカファイバ
694
660 – 1180
1064
1064
1047
1028
1550
半導体レーザーZnSSe
AlGaInP
AlGaAs
InGaAsP
PbSnSeTe
200 – 500
600 – 800
700 – 900
1100 – 1800
4000 – 20000

【基本】超短パルスレーザー

レーザーでの加工は、その特性をいかし、多くのメリットがあります。特に微細加工においては、超短パルスレーザーが注目されています。近年、工業用途においてレーザー光源自体の安定性・信頼性が向上し、ものづくりで利用される機会が多くなってきています。

連続的にレーザーを発射し続けるCWレーザーとは異なり、パルスレーザーは発射のOn/OFFを繰り返します。このパルスONの時間が短いレーザーは短パルスレーザーと呼ばれます。従来は、ナノ秒が使用されていました。ピコ秒/フェムト秒等の特に短いレーザーは超短パルスレーザーと呼ばれています。

ナノ、ピコ、フェムトは、接頭語でそれぞれ\(10^{-9}, 10^{-12}, 10^{-15}\)を表します。光速を\(3×10^{8}m/s\)とすると、1秒間に進む距離はナノ秒レーザーで300mm、フェムト秒レーザーでは0.3μmとなります。フェムト秒レーザーは、非常に短いパルスであることが分かります。

物質に対するレーザーでの加工は、一般的に熱加工であり、物質に熱を加える時間を短くすることで、物質への損傷を抑えることができます。レーザー照射時の熱拡散長\(x_D\)は、レーザーのパルス幅を\(\tau_p\)として、次式で表されます[1]。

\(x_D=\sqrt{\frac{2k_0\tau_p}{C_i}}\)

ここで、\(k_0[Wcm^{-1}K^{-1}]\)は熱伝導率、\(C_i[Jcm^{-1}K^{-1}]\)は格子イオンの熱容量です。例えば、銅に対してレーザーを照射し、蒸散が起こる融点で加熱すると、フェムト秒レーザーでは\(x_D\)=329nmですが、10nsのナノ秒レーザーでは、\(x_D\)=1.5μmとなります。ナノ秒レーザーの方が材料への損傷が大きいことは明らかです。

実際の加工結果を次の写真で示します。写真左から、ナノ秒レーザー、ピコ秒レーザー、フェムト秒レーザーでの加工結果です。写真上段がアルミ、下段が銅への溝加工結果です。ナノ秒->ピコ秒->フェムト秒とパルス幅が短くなるに従い加工幅が短くなり、きれいな加工になっていることが分かります。

[1] フェムト秒レーザーによる物質プロセッシング、橋田昌樹et.al.、光学、31 第8号(2002) 621

【基本】レーザーとは

1.レーザーとは?

レーザー(LASER)の名称は、その原理であるLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(放射の誘導放出による光増幅)の頭文字を取ったものに由来します。共振器を用いて光(電磁波)を増幅してレーザーを発振します。1917年にアインシュタインが「誘導放出の理論」にて、可能性を示した後、1960年にメイマンがルビー結晶を用いたレーザー発振を初めて成功させました。その後に次のように、多くのレーザーが開発されています。
・1961年 :Ali JavanによってHe-Neレーザー
・1962年:Nick Holonyak, Jrにより半導体レーザー
・1963年:W.BridgesによりArレーザー
・1964年:C. Kumar N. PatelによりCO2レーザー
・1966年:P.P.Sorokinによる色素レーザ
・1970年:によりエキシマレーザ

2.レーザーの特長

レーザーは次のような特長があります。
 ①単色性 :波長が一定です。
 ②指向性:真っすぐ進みます。
 ③可干渉性 :位相がそろっています。
 ④高光密度:少ない面積に集めることができ、大きな仕事ができます。

3.レーザーの機能と応用

レーザーの特長を活かすと、次のような機能を発揮します。

加工レーザーを集光させた高密度点で除去/付加加工ができる。レーザーマーカー、切断、アニーリング、溶接、レーザーメス
読取微小スポットでの検知光ディスク(CD/DVD/BD)の読取、バーコードリーダー
書込微小スポットで材質を変化光ディスク(CD/DVD/BD)の書込、レーザーマーカー
通信少ない減衰、高速応答、広帯域、小型を活かし、情報通信光ファイバー
照明微小スポットで高輝度に正確に照明レーザーポインター、レーザー顕微鏡、墨出し器
測定可干渉性、指向性、単色性により高精度測定レーザー干渉計、位相差顕微鏡、膜厚計、セルソーター、蛍光顕微鏡
検知高速性、指向性により正確な検知汚染物質検知、車間距離検知

3.レーザー微細加工の特長

レーザーの特長を最大限に活用すると、除去加工において次のような特性を得ることができます。

・微細加工性:極微小点に加工を行うため微細な加工ができます。
・精密加工性:安定した品質にて加工を行えます。
・高エネルギー密度加工:瞬時に材料を蒸散させ除去できます。
・高柔軟性:金型等が不要でプログラミングで任意に柔軟な加工ができます。
・高効率性:微小部分を効率良く除去します。
・化学反応:熱ではなく化学的な反応で除去します。

以上のように、レーザーは工業的な利用としては、歴史が浅いですが、微細加工においても無限の可能性がある技術です。